shooting star!!
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「どうして言ってくれなかったんですか」
そういうと、団長さんはバツが悪そうにハットのツバを下げた。話の主題はもちろん、今回の卵騒動に関してだ。卵の命を奪おうとしたんじゃないんだし、始めからちゃんと話してくれれば良かったのだ。
そうすればワドルディさんが怖い思いをすることもなかったし、お互い変に争うこともなかったはず。彼の華麗に盗み出したいという盗賊の矜持は私には到底、理解しがたいものだった。
「デデデ大王とカービィにはどうせ言っても無駄だろう。実際メタナイトやワドルディが説明しようとしたときも聞く耳を持たなかったじゃないか」
「そんなことありませんよ!今回のことだって行動する前からきちんと話せばちゃんと協力しました。どうして始めから諦めちゃうんですか」
「……オレは説教されるためにナマエを呼んだんじゃない」
私が面詰すると団長さんは拗ねた子どものような声音を出した。どうやらこちらの言い分を聞いてくれはしないようだ。
く、悔しい……大王様とカービィがこんな風に誤解されたままだなんて……消化しきれない余憤に歯噛みしていると、団長さんはふっ、と寂しげな表情をした。そういえば、なんで彼は私を呼んだのだろうか。お城に来たとき忘れ物でもしていったんだろうか?
「アンタをここに置いていったこと、あれからずっと後悔している」
彼の口から飛び出した予想していなかった言葉に、思わず口を開けて呆けてしまった。別れ際の言動から察するにたしかに私のことを惜しいとは思ってくれたのだろう。
でも、わざわざ時間を取ってまで話に来てくれるほど本気だとは思わなかった。実を言うと団長さんの社交辞令のようなものだと解釈していたのだ。
「どうだ。オレの船にもう一度、戻る気はないか?」
口を開けたまま黙っていた私に彼はそう誘いかける。団長さんのことだ。あの日からずっと私の席を空けておいてくれたのかもしれない。それはすごく光栄で、ありがたいことだ。私の事を信用して必要としてくれてるのだから。私なんかにはもったいないくらい大事に思ってくれている。
でも、それでも私の答えは決まっていた。
「ごめんなさい。私はポップスターで、大王様のお城で働いていたいんです」
だからどうか、もう私に縛られないでください。祈り、目を見つめながら言うと、そうか、と彼が笑って二人の間に漂っていた神妙な空気が解けた。見たことがないほどの優しい柔らかな笑顔だった。
せっかくのお誘いを二度も無下にしたのだから、てっきり少しは怒られたり失望されたりするものだと思っていた。
彼の表情の理由について疑問に思っていると団長さんは優しい目つきはそのままに口を開いた。
「変わったなと思ってな」
「え?」
「オレの船に乗っていた頃はこんな風に意見したり、軽口を叩いたりなんてしなかっただろう」
アイツらが変えたのか、と団長さんは呟いた。アイツらというのはもちろんカービィ達のことだろう。そうかもしれない。彼らが私を信じてくれると信じられるから、もう誰に何を言われるのも、されるのも怖いと思わないのかもしれない。その逆もまた然り。
あの時お前を連れ戻さなかった判断はもしかしたらそこまで悪いわけじゃなかったのかもしれないな。そう言う彼の顔が一瞬寂しげに歪んでまた元の優しい顔に戻った。私の見間違えかもしれないと思うほど瞬時のことだった。
「わかった。もうオレから戻るようにしつこく迫ったりはしないと約束しよう」
「え、本当ですか」
私はもう団に戻る気はない。また誘われる度に断るのも心苦しいと思っていたため彼の申し出は正直ありがたかった。
でも、もう団長さんと会うこともなくなるのかもしれない。それを寂しいと思うのも私の正直な気持ちだ。複雑な感情を抱えていると団長さんは不敵に笑った。
「だが、アンタとの縁を切りたいわけじゃないのさ。通信の方法を教えておく。なにか困ったことがあったら遠慮なく頼れ。もちろんオレの船に戻りたくなったときもな」
「……あの、その二つの時だけしか呼んだらダメですか?」
「うん?」
「たとえば観光に行ったり、ご飯に行ったり。そういう明確な目的がなくても、綺麗な花を見せたくなったときとか……」
そう言うと彼は意表を突かれたように目を見開いて、それから口を大きく開けて笑った。大人っぽい人だと思っていたから無邪気な少年のような笑い方が少し意外だった。
ひとしきりそうして笑うと彼はマントの裾をさぐって手にした物をこちらに渡した。
「もちろんいいに決まってる。それから、ほら。やるよ。趣味じゃ無かったら悪いな」
「わ!すっごく綺麗な花束……」
時折彼が花を買いに行かせることはもちろん覚えていた。きっと花が好きなんだろう。花を受け取るときの団長さんは、いつもより表情が柔らかかった気がする。
そのときに団長さんの本質に気がついていれば、もしかしたら私はまだ船に乗っていたのかな。ふとよぎった思考に、考えても詮無いことだと頭を振って彼に笑いかけた。
「ありがとうございます、団長さん」
「名前で呼んでくれ。オレはもうお前の団長じゃないんでな」
ドロッチェさん、と呼び直すと彼は心底嬉しそうに笑った。二人で長い間話したせいか、それとも船を見送ったあの日から彼に対する評価が変わっていたからなのか、もう彼のことを怖いと感じることはなかった。私ってもしかして人を見る目がないのかもしれない。こんなにいい人を怖いと思って距離を取っていたなんて。
ドロッチェさんと仲直りできたのはうれしいけど、自分の弱点も見つけてしまってなんだかどういう感情でいたらいいのかわからない。隣にいる彼は相変わらず緩んだ顔をしていた。船に乗っていた頃は見たことのなかった顔だ。
確かに私の欠点は大きな問題だと思う。けど、せめて彼といる今だけは、素直に友達になれたことを喜びたい。
私は綺麗な花束から、花をひとつ摘まんでみた。摘まんだ花はポップスターの穏やかなそよかぜによって、ひどく楽しげに揺れていた。
そういうと、団長さんはバツが悪そうにハットのツバを下げた。話の主題はもちろん、今回の卵騒動に関してだ。卵の命を奪おうとしたんじゃないんだし、始めからちゃんと話してくれれば良かったのだ。
そうすればワドルディさんが怖い思いをすることもなかったし、お互い変に争うこともなかったはず。彼の華麗に盗み出したいという盗賊の矜持は私には到底、理解しがたいものだった。
「デデデ大王とカービィにはどうせ言っても無駄だろう。実際メタナイトやワドルディが説明しようとしたときも聞く耳を持たなかったじゃないか」
「そんなことありませんよ!今回のことだって行動する前からきちんと話せばちゃんと協力しました。どうして始めから諦めちゃうんですか」
「……オレは説教されるためにナマエを呼んだんじゃない」
私が面詰すると団長さんは拗ねた子どものような声音を出した。どうやらこちらの言い分を聞いてくれはしないようだ。
く、悔しい……大王様とカービィがこんな風に誤解されたままだなんて……消化しきれない余憤に歯噛みしていると、団長さんはふっ、と寂しげな表情をした。そういえば、なんで彼は私を呼んだのだろうか。お城に来たとき忘れ物でもしていったんだろうか?
「アンタをここに置いていったこと、あれからずっと後悔している」
彼の口から飛び出した予想していなかった言葉に、思わず口を開けて呆けてしまった。別れ際の言動から察するにたしかに私のことを惜しいとは思ってくれたのだろう。
でも、わざわざ時間を取ってまで話に来てくれるほど本気だとは思わなかった。実を言うと団長さんの社交辞令のようなものだと解釈していたのだ。
「どうだ。オレの船にもう一度、戻る気はないか?」
口を開けたまま黙っていた私に彼はそう誘いかける。団長さんのことだ。あの日からずっと私の席を空けておいてくれたのかもしれない。それはすごく光栄で、ありがたいことだ。私の事を信用して必要としてくれてるのだから。私なんかにはもったいないくらい大事に思ってくれている。
でも、それでも私の答えは決まっていた。
「ごめんなさい。私はポップスターで、大王様のお城で働いていたいんです」
だからどうか、もう私に縛られないでください。祈り、目を見つめながら言うと、そうか、と彼が笑って二人の間に漂っていた神妙な空気が解けた。見たことがないほどの優しい柔らかな笑顔だった。
せっかくのお誘いを二度も無下にしたのだから、てっきり少しは怒られたり失望されたりするものだと思っていた。
彼の表情の理由について疑問に思っていると団長さんは優しい目つきはそのままに口を開いた。
「変わったなと思ってな」
「え?」
「オレの船に乗っていた頃はこんな風に意見したり、軽口を叩いたりなんてしなかっただろう」
アイツらが変えたのか、と団長さんは呟いた。アイツらというのはもちろんカービィ達のことだろう。そうかもしれない。彼らが私を信じてくれると信じられるから、もう誰に何を言われるのも、されるのも怖いと思わないのかもしれない。その逆もまた然り。
あの時お前を連れ戻さなかった判断はもしかしたらそこまで悪いわけじゃなかったのかもしれないな。そう言う彼の顔が一瞬寂しげに歪んでまた元の優しい顔に戻った。私の見間違えかもしれないと思うほど瞬時のことだった。
「わかった。もうオレから戻るようにしつこく迫ったりはしないと約束しよう」
「え、本当ですか」
私はもう団に戻る気はない。また誘われる度に断るのも心苦しいと思っていたため彼の申し出は正直ありがたかった。
でも、もう団長さんと会うこともなくなるのかもしれない。それを寂しいと思うのも私の正直な気持ちだ。複雑な感情を抱えていると団長さんは不敵に笑った。
「だが、アンタとの縁を切りたいわけじゃないのさ。通信の方法を教えておく。なにか困ったことがあったら遠慮なく頼れ。もちろんオレの船に戻りたくなったときもな」
「……あの、その二つの時だけしか呼んだらダメですか?」
「うん?」
「たとえば観光に行ったり、ご飯に行ったり。そういう明確な目的がなくても、綺麗な花を見せたくなったときとか……」
そう言うと彼は意表を突かれたように目を見開いて、それから口を大きく開けて笑った。大人っぽい人だと思っていたから無邪気な少年のような笑い方が少し意外だった。
ひとしきりそうして笑うと彼はマントの裾をさぐって手にした物をこちらに渡した。
「もちろんいいに決まってる。それから、ほら。やるよ。趣味じゃ無かったら悪いな」
「わ!すっごく綺麗な花束……」
時折彼が花を買いに行かせることはもちろん覚えていた。きっと花が好きなんだろう。花を受け取るときの団長さんは、いつもより表情が柔らかかった気がする。
そのときに団長さんの本質に気がついていれば、もしかしたら私はまだ船に乗っていたのかな。ふとよぎった思考に、考えても詮無いことだと頭を振って彼に笑いかけた。
「ありがとうございます、団長さん」
「名前で呼んでくれ。オレはもうお前の団長じゃないんでな」
ドロッチェさん、と呼び直すと彼は心底嬉しそうに笑った。二人で長い間話したせいか、それとも船を見送ったあの日から彼に対する評価が変わっていたからなのか、もう彼のことを怖いと感じることはなかった。私ってもしかして人を見る目がないのかもしれない。こんなにいい人を怖いと思って距離を取っていたなんて。
ドロッチェさんと仲直りできたのはうれしいけど、自分の弱点も見つけてしまってなんだかどういう感情でいたらいいのかわからない。隣にいる彼は相変わらず緩んだ顔をしていた。船に乗っていた頃は見たことのなかった顔だ。
確かに私の欠点は大きな問題だと思う。けど、せめて彼といる今だけは、素直に友達になれたことを喜びたい。
私は綺麗な花束から、花をひとつ摘まんでみた。摘まんだ花はポップスターの穏やかなそよかぜによって、ひどく楽しげに揺れていた。
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