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「いたぞ!ナマエだ!」
「逃がすな!追え!追え!」
彼女に選んで貰うには世界一綺麗な指輪でなくてはならない。まさか、彼女にセンスのない物を贈る訳にはいかないからね。そんなボクの選ぶ綺麗な指輪は総じて高く、また希少である。正当な手段で手に入れるなんて悠長な事は言ってられない。
彼女は宇宙一素敵な女性。そんなに時間がかかるような手じゃボクのものになる前に他の誰かに盗られちゃう。それならばどうするか。答えはひとつである。
走りながら手元の箱の中身を盗み見た。今日は1個。宝石があまり大きくないのが少し残念だが、薄い桃色は彼女のカラーだから、きっと存分に似合うだろう。
そう思考しながら2つ目のゲートを走り抜けたところで丁度背後の石像が爆発した。相変わらずナイスタイミング。彼が潜んでいたであろうレーザーの発射元を見るが既に気配は感じなかった。粉塵が巻き上がる。これはきっと良い目隠しになるはずだ。
「ダメです!見失いました!」
「馬鹿者ォ!」
ほぉらね。もう既に小さくしか聞こえない声をよそにボクは隠してあった真っ黒なフィアットに乗り込んだ。
「ああっ!ローズ!麗しの薔薇の君!どうかボクの声が聞こえるのならどうかその美しい瞳に僕を映しておくれ!」
目を閉じ横になっているその姿はさながら童話の姫のようだ。ボクが王子ならキスで目を覚ましてくれるのだろうか。同意なしに口付けなんて、そんなのは全然紳士的じゃないからやらないけど。
「お前またその気持ち悪ぃ独り言喋ってんのか」
「おや、シア……シャドウじゃないか」
悪態を吐きながら暗い部屋に足を踏み入れたのはボクの相方のシャドウ・ジョーカーだった。本日石像による目眩ましを仕掛けた本人である。
疲れているのだろうか。ただでさえ悪い目つきが更に悪くなっているように見える。
「お前、またドサクサに紛れて別のも盗んできただろ」
「仕事はした。問題ないだろう?ローズちゃんが目を覚ましたらあげるんだ。君も見るかい?ほら、彼女に似合いそうだろう」
「気色悪ぃな……」
そんなに表情筋が動くのか、と言いたくなるぐらい彼は露骨に顔を歪めた。心底軽蔑しましたと言わんばかりのオーラと、率直かつ辛辣な物言いに傷付く。
彼が言葉をオブラートに包む術を知らないのは、長い付き合いだ。理解している。しかし、ボクの彼女への想いを無下にしたのは少々、頂けないかな。意趣返しに、と口を開く。
「そういう君だってこの前女子トイレに入ったそうじゃないか。どうかと思うぞ、紳士として」
「人を変態みたいに言うな!お宝を盗むためだ!」
シャドウは人を馬鹿にする発言をしょっちゅうする癖、自分がからかわれると結構気にする。多分、ボクが言ったコレも一週間くらい引きずるだろう。彼もなかなか面白い人である。気付くのに随分時間がかかってしまったが。
「ハァ……おい、さっさと行くぞ」
「おや、もう次の獲物が見つかったのかい?」
「あぁ。次は“魔水晶の杖”だとよ」
「ふぅん」
下らない言い合いに疲れたのであろう彼が次のターゲットを告げる。指輪でないならいいや。ローズちゃんに似合う指輪が標的だったら例えプロフェッサーの前でも駄々捏ねてたけど。
つい、いつもの癖で彼女の様子を窺う。ここまでふたりで結構騒いだけれど、ピクリとも動かない。いつもの事ではあるが、悲しい。最後に彼女の笑顔を見たときから、随分と時間が経ってしまった。声、仕草、表情。
徐々に、しかし確実に。すべて忘れて消えていく。
「早く目が覚めるといいねぇ」
「フン」
縋るように声を掛けた。ボクと同じくらい彼女の起床を心待ちにしているのはやっぱり、兄の彼であろう。昔、ローズちゃんに話しかける機会を窺っていた際、酷い目に遭ったのを思い出す。彼、喧嘩強いし害のあるものを排除するのに躊躇無いからおっかないんだよなぁ。
そんなシアンくんとボクは、今、バディだ。だからきっと、大丈夫。頼りになるシアンくんがいるんだ。
ローズちゃん。ふたりで君を絶対起こしてみせるから。だから……
大きく息を吸い込み笑った。心の奥底に燻る僅かな不安を吹き飛ばすように。あるいは、未だ眠り続ける彼女に届くように。
_____ああ、待っていて!愛しの君!
「逃がすな!追え!追え!」
彼女に選んで貰うには世界一綺麗な指輪でなくてはならない。まさか、彼女にセンスのない物を贈る訳にはいかないからね。そんなボクの選ぶ綺麗な指輪は総じて高く、また希少である。正当な手段で手に入れるなんて悠長な事は言ってられない。
彼女は宇宙一素敵な女性。そんなに時間がかかるような手じゃボクのものになる前に他の誰かに盗られちゃう。それならばどうするか。答えはひとつである。
走りながら手元の箱の中身を盗み見た。今日は1個。宝石があまり大きくないのが少し残念だが、薄い桃色は彼女のカラーだから、きっと存分に似合うだろう。
そう思考しながら2つ目のゲートを走り抜けたところで丁度背後の石像が爆発した。相変わらずナイスタイミング。彼が潜んでいたであろうレーザーの発射元を見るが既に気配は感じなかった。粉塵が巻き上がる。これはきっと良い目隠しになるはずだ。
「ダメです!見失いました!」
「馬鹿者ォ!」
ほぉらね。もう既に小さくしか聞こえない声をよそにボクは隠してあった真っ黒なフィアットに乗り込んだ。
「ああっ!ローズ!麗しの薔薇の君!どうかボクの声が聞こえるのならどうかその美しい瞳に僕を映しておくれ!」
目を閉じ横になっているその姿はさながら童話の姫のようだ。ボクが王子ならキスで目を覚ましてくれるのだろうか。同意なしに口付けなんて、そんなのは全然紳士的じゃないからやらないけど。
「お前またその気持ち悪ぃ独り言喋ってんのか」
「おや、シア……シャドウじゃないか」
悪態を吐きながら暗い部屋に足を踏み入れたのはボクの相方のシャドウ・ジョーカーだった。本日石像による目眩ましを仕掛けた本人である。
疲れているのだろうか。ただでさえ悪い目つきが更に悪くなっているように見える。
「お前、またドサクサに紛れて別のも盗んできただろ」
「仕事はした。問題ないだろう?ローズちゃんが目を覚ましたらあげるんだ。君も見るかい?ほら、彼女に似合いそうだろう」
「気色悪ぃな……」
そんなに表情筋が動くのか、と言いたくなるぐらい彼は露骨に顔を歪めた。心底軽蔑しましたと言わんばかりのオーラと、率直かつ辛辣な物言いに傷付く。
彼が言葉をオブラートに包む術を知らないのは、長い付き合いだ。理解している。しかし、ボクの彼女への想いを無下にしたのは少々、頂けないかな。意趣返しに、と口を開く。
「そういう君だってこの前女子トイレに入ったそうじゃないか。どうかと思うぞ、紳士として」
「人を変態みたいに言うな!お宝を盗むためだ!」
シャドウは人を馬鹿にする発言をしょっちゅうする癖、自分がからかわれると結構気にする。多分、ボクが言ったコレも一週間くらい引きずるだろう。彼もなかなか面白い人である。気付くのに随分時間がかかってしまったが。
「ハァ……おい、さっさと行くぞ」
「おや、もう次の獲物が見つかったのかい?」
「あぁ。次は“魔水晶の杖”だとよ」
「ふぅん」
下らない言い合いに疲れたのであろう彼が次のターゲットを告げる。指輪でないならいいや。ローズちゃんに似合う指輪が標的だったら例えプロフェッサーの前でも駄々捏ねてたけど。
つい、いつもの癖で彼女の様子を窺う。ここまでふたりで結構騒いだけれど、ピクリとも動かない。いつもの事ではあるが、悲しい。最後に彼女の笑顔を見たときから、随分と時間が経ってしまった。声、仕草、表情。
徐々に、しかし確実に。すべて忘れて消えていく。
「早く目が覚めるといいねぇ」
「フン」
縋るように声を掛けた。ボクと同じくらい彼女の起床を心待ちにしているのはやっぱり、兄の彼であろう。昔、ローズちゃんに話しかける機会を窺っていた際、酷い目に遭ったのを思い出す。彼、喧嘩強いし害のあるものを排除するのに躊躇無いからおっかないんだよなぁ。
そんなシアンくんとボクは、今、バディだ。だからきっと、大丈夫。頼りになるシアンくんがいるんだ。
ローズちゃん。ふたりで君を絶対起こしてみせるから。だから……
大きく息を吸い込み笑った。心の奥底に燻る僅かな不安を吹き飛ばすように。あるいは、未だ眠り続ける彼女に届くように。
_____ああ、待っていて!愛しの君!
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