1話:Captivated by Her Eyes.

俺たちはのんびり歩き始めた。
真優の瞳は夕日のオレンジを映して、あたたかな光を宿している。
風が冷たくなってきとるのにその光だけはあたたかくて。

――元の色が淡いから、ほんま何色にでも染まりよる。

そんなことを考えていると、不意に真優が「さっきの話やけど」と俺を覗き込んでくる。

「さっきの?」
「うん。目の色の話」
「ああ、それがどうかしたん?」

わざと軽く返したら、真優がむっと口をへの字に曲げた。
自分から話振ったくせに、って顔しとる。
「すまん、すまん」
俺が笑いながら謝ると、真優は少しむっすりしたあと、ふっと息を吐いた。

しゃーなし許したろって感じやな、これは。

「昔はいろいろあったけど」
懐かしむ口振りに、そっと真優を覗き見る。したら、思いのほか、穏やかな顔しとって。
「今は、自分でも綺麗な色やなって思っとるよ」
そう言うと、真優はひょいっと俺の前に回り込んで、両手の人差し指で自分の瞳を指し示す。

「チャームポイントやねん!」

おどけてみせる真優の瞳には、柔らかなほほ笑みを浮かべる俺が映り込んどって。
自分でも分かりやすいくらい、好きな奴を見つめる顔しとって。

――俺、ええ顔しとんな。

「せやな!」

真優の頬に手を伸ばす。
そっと慈しむように頬に触れ、じいっと瞳を覗き込む。

「俺、初めて見たときからめっちゃ似合てる思たわ」

俺がそう言うと、真優の瞳が驚きに揺れた。
それから、嬉しそうに細め――照れ隠しか甘えか、真優は俺の手にぐっと頬を寄せ「ありがとうな!」と笑う。

夕日に照らされ一層まぶしかった。

淡い水色の瞳に、ありとあらゆる色が映り込む。
宝石みたいに輝いて、いろんな色に変わって――この変幻自在の真優の瞳から目が逸らせない。

……うん、やっぱ綺麗や。
ずっと、そう思うてる。

――この先も、何度でも。
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