12話:キミと光の先へ

付き合う前にも手は繋いだことがある。
そんときは、こう、普通に繋いどった。
それが今、指を絡ませて繋いでいる。

――恋人つなぎや……。
そんなことを考え、俺は思わず口元を隠した。
ニヤけそうで仕方がない。というか、絶対ニヤけとる。

マジでどんだけ真優んこと好きやねん、と心の中で自分に突っ込んでいると、ふと真優が呟いた。

「なんか、変な感じやなぁ」

ぼんやりした言葉に、俺は真優に視線を向け「変って何が?」と尋ねる。
「んー?」
真優の視線が俺に向けられた。
淡い輝きを放つ瞳から目が逸らせない。

――マジで可愛ええな、おい。

「謙也くんが五割り増しで格好よう見えて変な感じ」

しれっと告げる真優に思わず「はぁ!?」と声を上げた。

「ええやろ!?」
「格好よう見えてるならええやん! 何があかんねん!?」

一気に捲し立てれば、真優は目を丸くしてふはっと吹き出した。

「あかんなんて言うてへんやん」
「ただ、世界の見え方がまた変わったなぁって思っただけ」

俺の憤慨が余程気に入ったらしい真優は、カラカラと笑っている。
思わずむっとすれば、真優の大きな瞳が俺を捕らえた。

「色着いただけやった世界がキラキラすんねんもん」
「ほんま、敵わん」

俺は目を丸くする。
それから、表情を緩めて「……あっそ」とそっけなく呟いた。

きっと、真優には見透かされていると思う。

今、俺が安堵しとること。
心から――愛おしいと想っとること。

真優は柔らかにほほ笑むと口を開いた。

「謙也くんのおかげやな」

これから先、きっと大変なこともあると思う。
やけど、その度に真優と色を、音を重ねていきたいと、心から願う。

この光の溢れる世界で、真優をもっと好きになる。

木漏れ日のような光の中で、俺たちの歩幅が静かに重なった。
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