12話:キミと光の先へ
あのあと、真優はネックレスを着けたまま帰ると言って、おっちゃんに深々と頭を下げてお礼を言っていた。
ほんまに直って嬉しかったんやと思う。
帰り道、鼻歌を歌い出しそうなほど上機嫌な真優が、ふっと歩みを止めた。
どないしたんやろ? と思って真優を見れば、景色をじいっと眺めとる。
つられて同じように見れば、溢れんばかりのネオンが視界を埋め尽くした。
目下に広がる川に反射した光すらも、真優の笑顔に呼応して瞬いとるみたいで。
どれも眩しく光って――その光が真優の淡い水色の瞳に映り込んで、綺麗やと思った。
「前も、ここで立ち止まったん覚えてる?」
不意に真優が聞いてきた。
多分、ネックレスを修理に出した帰り。
この場所で同時に立ち止まった。
「真優のおばあちゃんが縁繋いでくれたって話したとき?」
「そう」
真優はゆっくり頷くと、自分の手元を見るように俯いた。
「……あの日な、うち、ようやく世界に色がついてるように見えたんよ」
思わず息を飲む。
真優は橋の欄干に手をつくと、再び景色に目をやった。
そして、ただ、ただ穏やかな口調で続ける。
「おばあちゃんが亡くなって、それからずぅっと世界がモノクロで――なんや、自分も空っぽで……」
「正直、ちょっとおかしなってたんやろな」
真優は自嘲じみた笑みを浮かべると、今度は俺を真っ直ぐに見る。
「やのに、そんな色のない世界やったのに」
「謙也くんだけは色着いとったよ」
不思議やな。そう付け足して真優は笑う。
俺はどう言っていいか分からず、そっと拳を握った。
ただ、以前感じていた『真優が壊れかけとった』っちゅー不安は合ってたわけで。
「謙也くんに救われとったんよ。ずっと」
真優がうしろ手に組んで、一歩俺に近付いた。
「色のない世界にぽつんと色着いた人が現れて」
「その人着いてったら、新しいもんいっぱいもらえた」
「……感謝してもしきれんくらいやわ」
真優のあたたかい手がそっと俺の左頬に触れた。
前に真優のおかんから庇って負った傷のあと――もちろん、もうとっくに治って痛みとかそんなんはない。
やけど、過去の真優の痛みが流れ込んでくるようで、俺はやるせなさに真優の手に自分の手を重ねる。
「ほんまに。いつもありがとうな、謙也くん」
ほんまに直って嬉しかったんやと思う。
帰り道、鼻歌を歌い出しそうなほど上機嫌な真優が、ふっと歩みを止めた。
どないしたんやろ? と思って真優を見れば、景色をじいっと眺めとる。
つられて同じように見れば、溢れんばかりのネオンが視界を埋め尽くした。
目下に広がる川に反射した光すらも、真優の笑顔に呼応して瞬いとるみたいで。
どれも眩しく光って――その光が真優の淡い水色の瞳に映り込んで、綺麗やと思った。
「前も、ここで立ち止まったん覚えてる?」
不意に真優が聞いてきた。
多分、ネックレスを修理に出した帰り。
この場所で同時に立ち止まった。
「真優のおばあちゃんが縁繋いでくれたって話したとき?」
「そう」
真優はゆっくり頷くと、自分の手元を見るように俯いた。
「……あの日な、うち、ようやく世界に色がついてるように見えたんよ」
思わず息を飲む。
真優は橋の欄干に手をつくと、再び景色に目をやった。
そして、ただ、ただ穏やかな口調で続ける。
「おばあちゃんが亡くなって、それからずぅっと世界がモノクロで――なんや、自分も空っぽで……」
「正直、ちょっとおかしなってたんやろな」
真優は自嘲じみた笑みを浮かべると、今度は俺を真っ直ぐに見る。
「やのに、そんな色のない世界やったのに」
「謙也くんだけは色着いとったよ」
不思議やな。そう付け足して真優は笑う。
俺はどう言っていいか分からず、そっと拳を握った。
ただ、以前感じていた『真優が壊れかけとった』っちゅー不安は合ってたわけで。
「謙也くんに救われとったんよ。ずっと」
真優がうしろ手に組んで、一歩俺に近付いた。
「色のない世界にぽつんと色着いた人が現れて」
「その人着いてったら、新しいもんいっぱいもらえた」
「……感謝してもしきれんくらいやわ」
真優のあたたかい手がそっと俺の左頬に触れた。
前に真優のおかんから庇って負った傷のあと――もちろん、もうとっくに治って痛みとかそんなんはない。
やけど、過去の真優の痛みが流れ込んでくるようで、俺はやるせなさに真優の手に自分の手を重ねる。
「ほんまに。いつもありがとうな、謙也くん」