12話:キミと光の先へ
その日の部活は俺も真優も浮足立っとった。
気持ちばかりが急いで、なんやふわふわしとる。
おかげで、練習試合で財前に負けるし、白石には「なんや集中できてへんのちゃうか?」って怒られるし。
図星過ぎて、何も言えん。
真優は真優で、スコアシートの書き方ミスっとったりして、同じく白石に「しっかりしいや。頼むで!」とか言われとる。
見合わせれば、真優は照れくさそうにべっと舌を出した。
――あかんな。
今日はちょお集中できそうにない。
□ + ◇ + □
そんな部活をどうにか終え(明日はちゃんと集中するから、堪忍!)、真優と連れ立って店を訪れる。
カランカランと扉についたベルが鳴った。
「おっちゃーん」
「こんばんは」
俺たちがそれぞれ声を掛ければ、店の奥から徹也おじさんが顔を出す。
「なんや、もう来たんか」
「すみません。居ても立っても居られず」
真優が照れくさそうに告げると、おっちゃんは「かまへんよ」とカウンターの棚の中から、箱を一つ取り出した。
細長い箱の蓋をおっちゃんがそっと開ける。
中にはすっかり直った一粒ダイヤのネックレスが静かに鎮座しとった。
「手に取って見てええで」
おっちゃんの一言を皮切りに、真優がそっとネックレスを取り出す。
店の明かりにネックレスをかざした。
キラキラと上品な輝きが角度を変えて反射する。
「新品みたいや……」
思わずといった調子で真優の口から言葉が紡がれる。
目元がふわりとほころんで、頬が少し赤い。
こんな幸せそうな顔、滅多に見られへん。
「持ち主が大切にしとったさかい、ごっつ綺麗になって返ってきたんやなぁ」
おっちゃんは、ネックレスが仕舞ってあった箱を閉じるとそう呟いた。
真優はネックレスを手のひらに乗せて、ほんまに安心したような表情を浮かべている。
――直ってよかったなぁ。
そんなことを思っていると、不意におっちゃんの視線が俺に向けられた。
なんや? とわずかに首を傾げればおっちゃんはこともなげに「謙也、着けたったら?」とか抜かしよる。
途端に顔が熱くなった。
「はぁ!? なんで、俺……っ!」
「別に他意はないで」
他意しかないやろ!?
心の中で思い切り突っ込みつつ拳を握れば、不意にきらりと光るネックレスが視界に入ってくる。
見れば、真優が何てことなさそうな顔で、ネックレスを渡そうとしとるし。
「ほんなら、お願いしよかな」
俺は数回瞬いた。マジで言うてる?
真優は固まる俺の手にネックレスを乗せると、さっと背を向け、髪を片側に寄せた。
――首……っ!
うなじ、見えとる……。
ごくりと喉が鳴る。
……知っとる。
おっちゃんが今めっちゃええ顔で見とんのも知っとる!
多分っちゅーか、絶対。
おとんに話いくのも分かっとる。
やけど、どうにもならんっ!
俺は緊張で小刻みに震える手で、ネックレスを着ける。
心臓がうるさくて仕方がない。
指先が震えて上手く留め具が着けられへん。
にしても、ほっそい首やな。
首だけやなくて、全部俺よりずっと小さい。
やのに、背負ってるもんはきっと今でも俺より重いんやろな。
不意にそんなことを考え、俺はそっと息を吐いた。
「……できたで」
留め具を着けて、そう告げれば「ありがとうな!」と明るい声が返ってくる。
真優はしばらく首にかかったネックレスを見つめたかと思えば、くるりと俺の方を向いた。
「どない?」
飛び切りの笑顔の真優を見て、俺はほほ笑んだ。
「よう似合とるよ」
やっといつもの真優に戻った気ぃする。
真優は嬉しそうに笑って、再び首元のネックレスを見つめていた。
気持ちばかりが急いで、なんやふわふわしとる。
おかげで、練習試合で財前に負けるし、白石には「なんや集中できてへんのちゃうか?」って怒られるし。
図星過ぎて、何も言えん。
真優は真優で、スコアシートの書き方ミスっとったりして、同じく白石に「しっかりしいや。頼むで!」とか言われとる。
見合わせれば、真優は照れくさそうにべっと舌を出した。
――あかんな。
今日はちょお集中できそうにない。
□ + ◇ + □
そんな部活をどうにか終え(明日はちゃんと集中するから、堪忍!)、真優と連れ立って店を訪れる。
カランカランと扉についたベルが鳴った。
「おっちゃーん」
「こんばんは」
俺たちがそれぞれ声を掛ければ、店の奥から徹也おじさんが顔を出す。
「なんや、もう来たんか」
「すみません。居ても立っても居られず」
真優が照れくさそうに告げると、おっちゃんは「かまへんよ」とカウンターの棚の中から、箱を一つ取り出した。
細長い箱の蓋をおっちゃんがそっと開ける。
中にはすっかり直った一粒ダイヤのネックレスが静かに鎮座しとった。
「手に取って見てええで」
おっちゃんの一言を皮切りに、真優がそっとネックレスを取り出す。
店の明かりにネックレスをかざした。
キラキラと上品な輝きが角度を変えて反射する。
「新品みたいや……」
思わずといった調子で真優の口から言葉が紡がれる。
目元がふわりとほころんで、頬が少し赤い。
こんな幸せそうな顔、滅多に見られへん。
「持ち主が大切にしとったさかい、ごっつ綺麗になって返ってきたんやなぁ」
おっちゃんは、ネックレスが仕舞ってあった箱を閉じるとそう呟いた。
真優はネックレスを手のひらに乗せて、ほんまに安心したような表情を浮かべている。
――直ってよかったなぁ。
そんなことを思っていると、不意におっちゃんの視線が俺に向けられた。
なんや? とわずかに首を傾げればおっちゃんはこともなげに「謙也、着けたったら?」とか抜かしよる。
途端に顔が熱くなった。
「はぁ!? なんで、俺……っ!」
「別に他意はないで」
他意しかないやろ!?
心の中で思い切り突っ込みつつ拳を握れば、不意にきらりと光るネックレスが視界に入ってくる。
見れば、真優が何てことなさそうな顔で、ネックレスを渡そうとしとるし。
「ほんなら、お願いしよかな」
俺は数回瞬いた。マジで言うてる?
真優は固まる俺の手にネックレスを乗せると、さっと背を向け、髪を片側に寄せた。
――首……っ!
うなじ、見えとる……。
ごくりと喉が鳴る。
……知っとる。
おっちゃんが今めっちゃええ顔で見とんのも知っとる!
多分っちゅーか、絶対。
おとんに話いくのも分かっとる。
やけど、どうにもならんっ!
俺は緊張で小刻みに震える手で、ネックレスを着ける。
心臓がうるさくて仕方がない。
指先が震えて上手く留め具が着けられへん。
にしても、ほっそい首やな。
首だけやなくて、全部俺よりずっと小さい。
やのに、背負ってるもんはきっと今でも俺より重いんやろな。
不意にそんなことを考え、俺はそっと息を吐いた。
「……できたで」
留め具を着けて、そう告げれば「ありがとうな!」と明るい声が返ってくる。
真優はしばらく首にかかったネックレスを見つめたかと思えば、くるりと俺の方を向いた。
「どない?」
飛び切りの笑顔の真優を見て、俺はほほ笑んだ。
「よう似合とるよ」
やっといつもの真優に戻った気ぃする。
真優は嬉しそうに笑って、再び首元のネックレスを見つめていた。