10話:STORM!!

静まり返った楽屋で私は「あ、嵐や」と、両手で顔を覆う。
みんなの視線が、突き刺さる。
恥ずかしさでどうにかなりそうになりながら、私はどうにか口を開いた。

「あの子ら、ほんま、あることないこと言うてからに……。嵐みたいな子らやねん」

恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい。
私が再び呻けば、途端に誰かが吹き出した。
それを皮切りに全員が笑い始める。

「あないに余裕ない真優見るん初めてやったわ」
白石くんがお腹を抱えている。
「ほんに、なかなか強烈な子ぉだったばい」
千歳くんも楽しそう。
「ほんま、どこにでもああいう人っておるんですね」
光の呆れ声に、私はうぅ……っと縮こまる。

ひとしきり笑いが収まると、「やけど……」と謙也くんが口を開いた。

「真優んこと大事に思うとる人が俺らの他にもおって、なんやほんまに安心したわ」

私は自分の顔を覆っていた手を外し、謙也くんを見る。
――優しい顔しとる。

それから、みんなを見れば、謙也くんの意見に同意するような表情で私を見ていた。
その空気に酷く安心して、私は気が抜けたように笑みを浮かべると「そやね」と続けた。

「あの子ら、うちのこと小さいときから知っとるさかい」
「多分、家のこととかで気ぃ揉んでたんやろな」

やから、心から応援してくれとるみんなのこと見て、ほんまに安心したんやと思う。
私はやれやれと息を吐き出した。

しゃーなし、今回の暴走は許したろ。
次やったら承知せんけど。

穏やかな空気の中、不意に金ちゃんが口を開いた。

「なあ、真優。今日はもう用事ないん?」
「今日はもう帰るだけやけど……なんで?」
「せやったら、みんなでたこ焼き食べよーや!」

金ちゃんの明るい笑みに、目を丸くする。
私が返事をする前に、不意に一氏くんが「ええやん」と続けた。

「打ち上げや、打ち上げ!」
「真優ちゃん、ほんまずーっと頑張っとったもんねぇ」
「ま、ええんとちゃいます?」

小春ちゃんと光が同意する。
全員を見て、最終決定を求めるように白石くんに視線を送れば、白石くんは穏やかにほほ笑んで「ええんとちゃう?」と口を開いた。

「打ち上げ行こか。仲間がようやく肩の荷降りたことやし」

仲間、と口にされ思わず涙腺が緩む。

五月からたった五ヶ月しかマネージャーをしてへん。
しかも、しょっちゅう休んで迷惑ばっか掛けとる私を、仲間と認めてくれることが嬉しかった。

もしかしたらコンクールで一位取るよりも嬉しいかもしれへん。

胸の奥がぎゅっと熱くなる。
私は思わず俯いて、手の甲でにじみ出た涙をぬぐい「行きたい」とぽつりと呟いた。

「打ち上げ行きたい……っ!」

そう告げれば、すぐ傍から謙也くんの声が降ってきた。

「ほんなら、俺ら外で待っとくさかい。みんなで行こな」

私は謙也くんにほほ笑み返すと、力いっぱいに頷いた。

「うんっ!」

――四天宝寺に転校してよかった。
四天宝寺に転校して、テニス部に入ってほんまによかった。

こんなにも頼もしい仲間に囲まれて。
うち今めっちゃ幸せや!
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