8話:夏夜の距離と線香花火
全部の花火が終わって、私はスカートを叩いてぐぐっと伸びをした。
ごみは分別して、遊び終えた花火は一旦水で完全に鎮火させてからまとめてごみ袋に入れる。
「真優、よう来れたな!」
なんて、一氏くんが背中叩いてきて。
「遅れてもたけど、来れて良かったわ」
そうごみ袋を一氏くんに向ければ、ポイっと手持ち花火の残骸を放り込まれた。
やんや、やんやとにぎやかな帰り道を、ふっと肌寒い風が通り抜ける。
もう秋やなぁ……なんて考えとったら白石くんが話し掛けてきた。
「今日おおきにな。レッスンあって大変やったんちゃう?」
私は白石くんを見上げ「そんなことないで」と続けた。
「コンクール終わったさかいに、半分お疲れ様会みたいなんやったし。夏らしいことできて楽しかったよって」
「せやったらよかったわ」
「うん。夏の終わりにええ思いできたわ」
楽しかったんも、誘ってくれたん嬉しかったんも本当。
正直『手持ち花火大会』ってメッセージ来たときは一瞬迷った。
ほんで、返事少し遅なったんもあるけど。
でも、来てよかったって思ってるんはほんま。
「やけど、自分一個も手持ち花火してへんかったやろ」
不意に痛いところを突かれて、私はうっと固まった。
「……なんや、みんなやってんの見たら満足してもただけ」
これ以上の追求は嫌やなぁ、なんて考えとったら不意に、頭上から別の声が降ってきた。
「遠目から見る手持ち花火きれかったしな」
謙也くんや。
多分、私がこれ以上詰められんように助け舟出してくれたんやと思う。
――ほんま頼もしいな。
助けてほしいときに、助けてほしい方法で来てくれるんやもん。
白石くんは「そういうもんか」と納得したのかしてへんのか曖昧な表情を浮かべ、息を吐く。
それから、私と謙也くんを交互に見てふっと吹き出した。
「ほんま、自分ら仲ええな!」
あははっ! という突然の爆笑に思わず目を丸くして、謙也くんと目配せした。
ただ、白石くんが楽しそうにしとるのを見とったら、だんだんこちらまでおかしくなってきて、三人で笑い出す。
説明のつかん笑いに、光の「三―二どないしたんです?」という呆れ声が飛んできて。
「頭のネジ飛んだんちゃう?」
とは、一氏くんの言葉。
「楽しそうでよかばい」
ニコニコと千歳くんも楽しそうに笑っていた。
私は、あははっと笑い声を上げると穏やかに告げる。
「夏が終わるもの悪くないなって話!」
夏の終わりの涼やかな風が吹き抜ける。
私は目を閉じて、胸いっぱいに夏の匂いを吸い込んだ。
まぶたを持ち上げれば謙也くんと目が合う。
優しい視線にふっと私は目を細めて笑った。
私たちの夏は終わってしまったけれど。
きっと、この一瞬のきらめきは心に焼き付くのだろうと、なぜかそんな気がした。
ごみは分別して、遊び終えた花火は一旦水で完全に鎮火させてからまとめてごみ袋に入れる。
「真優、よう来れたな!」
なんて、一氏くんが背中叩いてきて。
「遅れてもたけど、来れて良かったわ」
そうごみ袋を一氏くんに向ければ、ポイっと手持ち花火の残骸を放り込まれた。
やんや、やんやとにぎやかな帰り道を、ふっと肌寒い風が通り抜ける。
もう秋やなぁ……なんて考えとったら白石くんが話し掛けてきた。
「今日おおきにな。レッスンあって大変やったんちゃう?」
私は白石くんを見上げ「そんなことないで」と続けた。
「コンクール終わったさかいに、半分お疲れ様会みたいなんやったし。夏らしいことできて楽しかったよって」
「せやったらよかったわ」
「うん。夏の終わりにええ思いできたわ」
楽しかったんも、誘ってくれたん嬉しかったんも本当。
正直『手持ち花火大会』ってメッセージ来たときは一瞬迷った。
ほんで、返事少し遅なったんもあるけど。
でも、来てよかったって思ってるんはほんま。
「やけど、自分一個も手持ち花火してへんかったやろ」
不意に痛いところを突かれて、私はうっと固まった。
「……なんや、みんなやってんの見たら満足してもただけ」
これ以上の追求は嫌やなぁ、なんて考えとったら不意に、頭上から別の声が降ってきた。
「遠目から見る手持ち花火きれかったしな」
謙也くんや。
多分、私がこれ以上詰められんように助け舟出してくれたんやと思う。
――ほんま頼もしいな。
助けてほしいときに、助けてほしい方法で来てくれるんやもん。
白石くんは「そういうもんか」と納得したのかしてへんのか曖昧な表情を浮かべ、息を吐く。
それから、私と謙也くんを交互に見てふっと吹き出した。
「ほんま、自分ら仲ええな!」
あははっ! という突然の爆笑に思わず目を丸くして、謙也くんと目配せした。
ただ、白石くんが楽しそうにしとるのを見とったら、だんだんこちらまでおかしくなってきて、三人で笑い出す。
説明のつかん笑いに、光の「三―二どないしたんです?」という呆れ声が飛んできて。
「頭のネジ飛んだんちゃう?」
とは、一氏くんの言葉。
「楽しそうでよかばい」
ニコニコと千歳くんも楽しそうに笑っていた。
私は、あははっと笑い声を上げると穏やかに告げる。
「夏が終わるもの悪くないなって話!」
夏の終わりの涼やかな風が吹き抜ける。
私は目を閉じて、胸いっぱいに夏の匂いを吸い込んだ。
まぶたを持ち上げれば謙也くんと目が合う。
優しい視線にふっと私は目を細めて笑った。
私たちの夏は終わってしまったけれど。
きっと、この一瞬のきらめきは心に焼き付くのだろうと、なぜかそんな気がした。