8話:夏夜の距離と線香花火
テーブルの上に並ぶ、食事の数々。
ポテトにチーズリゾット、果ては白玉ぜんざいまで。
「俺、これも食べたいねんけど」
メニューを開いてピザを指差せば、白石が「炭水化物と脂質ばっかはあかん」とほうれん草ソテーも注文しとった。
その横で財前が平然とした顔で「チョコジェラートお願いします」と店員に言っている。
ジャンルも栄養バランスもごちゃごちゃ。
カオスなテーブル。
俺はジュースのストローを咥えながら白石に悪態をつく。
「おかんか」
「全国終わったからって、不健康な生活はあかん」
「いや、それ言うなら財前やろ! こいつさっきから甘いもんしか食うてないで?」
「財前も、野菜食べなあかんで」
「いや、俺注文してないんで」
「なんでお前らはこう、不健康まっしぐらの行いを……」
白石の呆れ切ったため息が響いた。
午前の部活を終えた俺たち三人は、駅前のファミレスに集まとった。
ユウジと小春も誘ったけど、今日はデートやって断られた。
千歳は気ぃ付いたときにはもうどっか行ってしもてたし、金ちゃんは珍しく用事があるとかで、今はおらん。
小石川と銀もなんや二人で図書館行くとか言うとった。
真優にも声掛けたけど「今日レッスンやねん!」と、相変わらず忙しそうにしとる。
まあ、つまるところ俺ら三人だけが暇人やったってこと。
俺はポテトに手を伸ばすと、頬杖をついてぼんやり口を開いた。
「なんや夏っぽいことしたいな」
「却下で」
速攻、財前に却下され、思わず「なんでやねん!」と突っ込む。
「や、夏っぽいことって……一体何する気です?」
財前の冷ややかな目が俺を刺してくる。それから、面倒臭そうなため息交じりに続ける。
「夏祭りも花火大会も知らん間に終了しとった」
「プール行くとか、海行くとかあるやん!?」
「なんで謙也さんと部長と行かなあかんのです?」
それに焼けるし、とか財前が抜かす。
焼けるてお前、女子か。
ただ、財前の言うてることも分からんではない。
夏のイベントは全国大会で東京行っとる間に全部終わっとった。
それにプールも海も、男ばっかで行くのは味気ないってのも分かる。
俺はため息を吐いた。
「一回でええから、夏の思い出全部盛りみたいな夏過ごしてみたいわ」
「無理でしょ」
「即答すな!」
俺らの言い合いに、白石は苦笑いを浮かべている。
店員が運んできたピザとほうれん草ソテーをテーブルに置いて「まあ、全部盛りは無理やけど」と続けた。
「手持ち花火大会くらいやったら、今からでも出来るんとちゃうか」
「! それや!」
「まあ、手持ち花火くらいやったらええんとちゃいます?」
夜やし暑さもマシでしょ、と財前も乗り気なのが珍しい。
返事を聞くや否や、白石は「よっしゃ」とスマホを取り出す。
「せっかくやから、部のみんなに声掛けてみよか」
白石はテニス部のトークルームに『手持ち花火大会参加する人、挙手!』とメッセージを送った。
俺は目の前で、速攻スタンプを送る。
同じく財前も「まぁ、しゃーないっすわ」と言いながらスタンプをタップした。
白石は「自分らは別に送らんでもええよ」と言っとったけど、こういうんは最初が肝心や。
現に俺たちが先陣を切ったからか、小春、ユウジ――と続々と参加者が増えていく。
最終的に、真優以外の全員の参加が決まった。
「真優、既読つかへんな」
「レッスン中やろ? スマホ見られへんって」
「来れたらええんすけどね、真優さん」
さすがに四天宝寺のジャージのまま花火するわけにもいかんから、一目散に食事を平らげ解散する。
帰路、スマホが震えたから取り出せば、真優からメッセージが届いとった。
『レッスン終わりに顔出すわ!』
ポテトにチーズリゾット、果ては白玉ぜんざいまで。
「俺、これも食べたいねんけど」
メニューを開いてピザを指差せば、白石が「炭水化物と脂質ばっかはあかん」とほうれん草ソテーも注文しとった。
その横で財前が平然とした顔で「チョコジェラートお願いします」と店員に言っている。
ジャンルも栄養バランスもごちゃごちゃ。
カオスなテーブル。
俺はジュースのストローを咥えながら白石に悪態をつく。
「おかんか」
「全国終わったからって、不健康な生活はあかん」
「いや、それ言うなら財前やろ! こいつさっきから甘いもんしか食うてないで?」
「財前も、野菜食べなあかんで」
「いや、俺注文してないんで」
「なんでお前らはこう、不健康まっしぐらの行いを……」
白石の呆れ切ったため息が響いた。
午前の部活を終えた俺たち三人は、駅前のファミレスに集まとった。
ユウジと小春も誘ったけど、今日はデートやって断られた。
千歳は気ぃ付いたときにはもうどっか行ってしもてたし、金ちゃんは珍しく用事があるとかで、今はおらん。
小石川と銀もなんや二人で図書館行くとか言うとった。
真優にも声掛けたけど「今日レッスンやねん!」と、相変わらず忙しそうにしとる。
まあ、つまるところ俺ら三人だけが暇人やったってこと。
俺はポテトに手を伸ばすと、頬杖をついてぼんやり口を開いた。
「なんや夏っぽいことしたいな」
「却下で」
速攻、財前に却下され、思わず「なんでやねん!」と突っ込む。
「や、夏っぽいことって……一体何する気です?」
財前の冷ややかな目が俺を刺してくる。それから、面倒臭そうなため息交じりに続ける。
「夏祭りも花火大会も知らん間に終了しとった」
「プール行くとか、海行くとかあるやん!?」
「なんで謙也さんと部長と行かなあかんのです?」
それに焼けるし、とか財前が抜かす。
焼けるてお前、女子か。
ただ、財前の言うてることも分からんではない。
夏のイベントは全国大会で東京行っとる間に全部終わっとった。
それにプールも海も、男ばっかで行くのは味気ないってのも分かる。
俺はため息を吐いた。
「一回でええから、夏の思い出全部盛りみたいな夏過ごしてみたいわ」
「無理でしょ」
「即答すな!」
俺らの言い合いに、白石は苦笑いを浮かべている。
店員が運んできたピザとほうれん草ソテーをテーブルに置いて「まあ、全部盛りは無理やけど」と続けた。
「手持ち花火大会くらいやったら、今からでも出来るんとちゃうか」
「! それや!」
「まあ、手持ち花火くらいやったらええんとちゃいます?」
夜やし暑さもマシでしょ、と財前も乗り気なのが珍しい。
返事を聞くや否や、白石は「よっしゃ」とスマホを取り出す。
「せっかくやから、部のみんなに声掛けてみよか」
白石はテニス部のトークルームに『手持ち花火大会参加する人、挙手!』とメッセージを送った。
俺は目の前で、速攻スタンプを送る。
同じく財前も「まぁ、しゃーないっすわ」と言いながらスタンプをタップした。
白石は「自分らは別に送らんでもええよ」と言っとったけど、こういうんは最初が肝心や。
現に俺たちが先陣を切ったからか、小春、ユウジ――と続々と参加者が増えていく。
最終的に、真優以外の全員の参加が決まった。
「真優、既読つかへんな」
「レッスン中やろ? スマホ見られへんって」
「来れたらええんすけどね、真優さん」
さすがに四天宝寺のジャージのまま花火するわけにもいかんから、一目散に食事を平らげ解散する。
帰路、スマホが震えたから取り出せば、真優からメッセージが届いとった。
『レッスン終わりに顔出すわ!』