4話:想う気持ち

少しして真優がベンチから立ち上がった。
ぐっと伸びをして、後ろ手に組む。
俺も真優に続くようにして立ち上がると「家まで送るわ」と続けた。

「明日、頑張りや」
「全国の雪辱戦やな」
「おん」

公園の出口に向かって歩みを進めると、真優が思い出したように振り返った。
淡い水色の瞳に俺が映りこむ。

「ちょお、充電させて」
「充電?」

意味が分からず首を傾げれば、不意に真優が抱き着いてきた。

驚きで固まる。
心臓が急激に心拍数を上げて、体温が一気に熱くなる。

「ちょっ!? はぁ!?」

真優の細い腕が背中に回されて、ぎゅっとすがるように俺の服を掴んでいる。

「急にごめん。迷惑やったら振り払って」
「いや……。迷惑、や、ない。けど……」

しどろもどろに返せば、真優のまぶたが安心したように伏せられた。

「明日本番やさかい、元気ほしなっただけ」

真優の腕に力が入った。

「多分、うちだけやったら――明日頑張られへんから」

俺は恐る恐る真優の背中に手をまわした。
華奢で小さくて――なのに、この小さい身体で、数え切れんくらいたくさんのもん背負ってて。

「元気やったら、いくらでも分けたる」
「――元気が取柄みたいなもんやからな」

真優が小さく笑ったのが分かった。
体温と鼓動が伝わって、俺の心臓まで落ち着いていく。

俺の腕に力がこもる。

頑張れ、と。
俺はいつだって真優の味方やでって、伝わるように。

真優の背中を見送ったあと、俺は拳を握った。
夏の風が吹き抜けていく。

――明日はきっと勝つ。
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