3話:同じ空の下
翌日、俺はジャージのポケットに真優のネックレス忍ばせて、準決勝の会場へ向かった。
対戦相手は東京の青春学園――関東大会で昨年の全国大会覇者、立海大附属を破った強豪や。
ちなみに、うちが去年全国の準決勝で敗れた相手がその立海大附属やったりする。
昨日の電話で真優に言わなかったことが一つだけある。
先の準々決勝のあと、千歳が退部した。
因縁があった選手と再戦できて、満足したかららしい。
別に千歳の考えやから否定するとかはせんけど、こんなん言うたら、真優気に病むやろ?
俺らの全国も大事やけど、真優のコンクールやってもう目前で。
さすがに言い出せんかった。
正直、千歳が抜けたんはうちの学校にとって痛手や。
あいつ、かなりの実力者やからな。
それでも、俺たちは勝たなあかん――。
「んじゃ、オーダーを発表すっぞ!!」
一堂に会した俺たちに、オサムちゃんの声が飛ぶ。
普段割とダウナーやのに、なんでこういうときは声張るんやろな、オサムちゃんって。
そんなこと、ぼんやり考えとる中、順次オーダーが発表された。
「シングルス3白石!」
「ダブルス2小春アンド一氏ぃ!」
「シングルス2銀さぁん」
「ダブルス1謙也アンド天才財前くんな!」
名前呼ばれて、昨日白石が言うとった通りやな、と息を吐く。
読み上げられた通り、俺の試合は第四試合。
ストレートで決まれば出番はない。
「ほんで、シングルス1金太郎!」
青学の対戦カードが出揃った。
第四試合――青学のオーダーは手塚と乾。
まさか、手塚がダブルスで選出されるとは思うてへんかったけど、と俺はため息を吐いた。
手塚国光――中学生ナンバーワンと名高い選手であり、千歳が死ぬほど対戦したがっとった相手。
どうしたもんか……。
俺かて強い奴と戦いたい。やけど――。
そぞろに会場に入っていくみんなを一瞥したあと、俺はくるりと背を向けた。
□ + ◇ + □
青学との試合は緊迫していた。
シングルス3の白石が青学の不二相手に【5-0】で優勢やったのに、最終的に【7-6】まで追い込まれた。
辛くも勝利したものの幸先の良い試合とは言えんかった。
続くダブルス2の小春とユウジも優勢取っとったのに【6-7】で負けた。
シングルス2の銀も青学の河村とのパワー対決で骨折し棄権。
青学が王手をかけたタイミングでダブルス1の試合。
ダブルス1の試合が始まる直前、白石が最終確認をしてきた。
「……謙也、ほんまにええねんな?」
俺は頷くと、ひらりと手を振って背を向ける。
「おん。さっき決めたやろ」
俺は今から、あのアホンダラ探しに行かなあかん。
電光掲示板に映し出された数字が、自棄に冷たかった。
ダブルス1の選手のコールがされる。
青学はオーダー通り【手塚・乾】と電光掲示板に表示されている。対する四天宝寺は――
【財前・千歳】となっていた。
対戦相手は東京の青春学園――関東大会で昨年の全国大会覇者、立海大附属を破った強豪や。
ちなみに、うちが去年全国の準決勝で敗れた相手がその立海大附属やったりする。
昨日の電話で真優に言わなかったことが一つだけある。
先の準々決勝のあと、千歳が退部した。
因縁があった選手と再戦できて、満足したかららしい。
別に千歳の考えやから否定するとかはせんけど、こんなん言うたら、真優気に病むやろ?
俺らの全国も大事やけど、真優のコンクールやってもう目前で。
さすがに言い出せんかった。
正直、千歳が抜けたんはうちの学校にとって痛手や。
あいつ、かなりの実力者やからな。
それでも、俺たちは勝たなあかん――。
「んじゃ、オーダーを発表すっぞ!!」
一堂に会した俺たちに、オサムちゃんの声が飛ぶ。
普段割とダウナーやのに、なんでこういうときは声張るんやろな、オサムちゃんって。
そんなこと、ぼんやり考えとる中、順次オーダーが発表された。
「シングルス3白石!」
「ダブルス2小春アンド一氏ぃ!」
「シングルス2銀さぁん」
「ダブルス1謙也アンド天才財前くんな!」
名前呼ばれて、昨日白石が言うとった通りやな、と息を吐く。
読み上げられた通り、俺の試合は第四試合。
ストレートで決まれば出番はない。
「ほんで、シングルス1金太郎!」
青学の対戦カードが出揃った。
第四試合――青学のオーダーは手塚と乾。
まさか、手塚がダブルスで選出されるとは思うてへんかったけど、と俺はため息を吐いた。
手塚国光――中学生ナンバーワンと名高い選手であり、千歳が死ぬほど対戦したがっとった相手。
どうしたもんか……。
俺かて強い奴と戦いたい。やけど――。
そぞろに会場に入っていくみんなを一瞥したあと、俺はくるりと背を向けた。
□ + ◇ + □
青学との試合は緊迫していた。
シングルス3の白石が青学の不二相手に【5-0】で優勢やったのに、最終的に【7-6】まで追い込まれた。
辛くも勝利したものの幸先の良い試合とは言えんかった。
続くダブルス2の小春とユウジも優勢取っとったのに【6-7】で負けた。
シングルス2の銀も青学の河村とのパワー対決で骨折し棄権。
青学が王手をかけたタイミングでダブルス1の試合。
ダブルス1の試合が始まる直前、白石が最終確認をしてきた。
「……謙也、ほんまにええねんな?」
俺は頷くと、ひらりと手を振って背を向ける。
「おん。さっき決めたやろ」
俺は今から、あのアホンダラ探しに行かなあかん。
電光掲示板に映し出された数字が、自棄に冷たかった。
ダブルス1の選手のコールがされる。
青学はオーダー通り【手塚・乾】と電光掲示板に表示されている。対する四天宝寺は――
【財前・千歳】となっていた。