10話:The Inherited Oath.

ふわりとあたたかい光の中、おばあちゃんが笑っている。
いつもと同じ柔らかな笑顔に涙腺が緩んだ。

――会いたいなぁ

三月の中頃、いつ亡くなったのかも分からないまま、おばあちゃんは逝ってしもた。
私がコンクールから戻ったときには、おばあちゃんが生きていた痕跡は何一つ残っとらんかって。

おばあちゃん。
うちな、またあかんかってん。

なんでやろうな。
ピアノしてて嬉しいことも、楽しいこともあるのに、どうして大切な人の大事なときに傍におられへんのやろ。

もう、あんなこと二度と嫌やのに……

不意におばあちゃんの隣に誰かが並び立った。
長身のその人は、おばあちゃんと二、三、言葉を交わすと、おばあちゃんから何かを受け取った。

何してはるんやろ?
その人は――。

伸ばした手に、光の粒がこぼれるように揺れた。
その光が胸に落ちたとき、どこかで見た背中と重なった気がした。
あの人の、優しい姿と。
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