8話:苛立ちの正体

相変わらず、真優は眠そうにしていることが多い。
今日なんか、授業中に肘をついてぼんやりしていたかと思えば、直後に指名され大慌てで答えとった。

先生には「しっかりせえよー、小鳥遊」とか言われとったし。
真優は真優で「すみません」と照れくさそうに笑とるし。

――別に、いつもと同じや。
同じはずやのに胸の奥に小さな引っ掛かりが残っとる。

違うことと言えば、やたら白石と真優が一緒に居るようになったことくらい。
こないだ、真優が階段から落ちかけたときから、白石は必要以上に真優を気に掛けとる。

まあ、俺が傍におったってくれって頼んだんやけど。
それに、白石、部長やからな。
マネージャー気に掛けるんは当然っちゃ当然で……。

――でも、なんやもやもやすんねんな。

俺はそっとため息を吐く。
白石と話す真優はいろんな表情をする。

真剣な表情、おもろそうに笑う顔。
ほんま、ころころ表情が変わって見とって飽きへん。
けど、その顔が全部白石に向けられたものやと思うと、胸の奥がちくりと痛なる。

無意識にじぃっと真優を見ていれば、不意に目が合った。
真優は数回瞬いたあと、ふいっと視線を逸らした。

ちょい前やったら、目ぇ逸らさんかった気いすんねんけどな。
で、その笑顔になんや。
こう、心臓がぎゅってなる言うか。

俺はわずかに頬を染め、咳払いを一つした。
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