みじかいの

 ランスロットは勉強熱心な男である。
 暇さえあれば戦術や兵法の書を読み漁っているのは、団長を務める騎士団のため、一人の騎士として自分のため、そして守るべきものを守るためだ。
 さらにそれを実践し、感じた手応えの精度をさらに高めていく勘のよさや、上手くいかない部分があれば修正する地頭のよさ、それを可能にするだけのセンスも持ち合わせている。
 そういったことの積み重ねが、今のランスロットの強さの一つと言えるだろう。
 無論、それは戦いでだけ発揮されるものではなく、彼自身の持つ性分だ。




 その日、グランと体を重ねられる猶予を与えられた逢瀬は久々のことだった。
 今となってはキスだけで、グランの体は自分を受け入れようとする。それを理性で隠そうとする恥じらいもたまらなくそそるのだが、一方でその仮面をさっさと剥がしてしまいたいとも思う。
 なので、頭上から聞こえるか弱い「やだ」という声は無視して、ランスロットは事を進めた──この機会に、試したいことがあったのだ。

「ここ、もう勃ってる」
 そう言ってランスロットが愛撫しているのは、グランの平たい胸の頂だった。
 キスと体が密着していたことで緩く輪郭を顕したそこを、ランスロットは弄ぶ。
「ぁ、あ、ンっ、や……はぅっ……」
 指先でくにくにと摘まんでみたり、口に含んで舌先で転がしてみたりしていると、甘い喘ぎが聞こえてくる。一般的に男でも感じると言われているグランのそこは、最早立派な性感帯となっていた。
 分かりやすい証として、ぶつかる下半身が熱を持っている。それについてはグランの恥態に興奮しているランスロットも同じだった。一刻も早く中を暴いて、自分でいっぱいにしてやりたい。
 しかしその衝動をぐっと堪え、ランスロットは準備していたローションに手を伸ばした。力任せにボトルを握ると、ごぷ、と空気の抜ける音を立てて指先をとろりと濡らしていく。
 そのランスロットの行動からこれから自分がどうなるか察したのか、大きく脚を開かせてもグランが抵抗することはなかった。もう出来上がっていただけかもしれないが、それでも一回りも年下の少年にベッドの上でも心を砕かれるとは、本当に畏れ入る。
 ローションにまみれた指先で、閉ざされた秘孔に触れる。ぐるりと柔らかい縁をなぞり、つぷ、とまずは一本。きゅう、と締め付けてくる内壁をぐにぐにと押し広げながら、二本目の指を侵入させる。
「は、んーっ……ン、ふ、ぅ……」
「すごい、吸い付いてきてる。ここ、ひとりで弄ったりしなかったのか?」
「して、な、いっ……あっ、ン!」
 熱いグランの中で指を動かすと、絡めたローションがぐちゅりと卑猥な音を立てる。
「ここ、あんたの気持ちいいところだな」
「あああっ!? ゃあ、ぁ、ひ、ァ、あっ」
 そう言ってランスロットはグランの前立腺を重点的に攻め立てた。ぐに、と腹の方向に向かって刺激してやると、グランの体はおもしろいほどに反応する。
「あっ、あー……っ! や、そこ、ばっかり、ァ、んっ……」
「もう欲しくなったか?」
「ん、ほし、い、らんすろっと、のっ、いれてぇっ……!」
 わざわざ聞いて、自分で言わせて、そんなグランのまだ幼い欲望を自分に向けられている事実は、とてつもなく心地がいい。
 ──だからこそ、もっと溺れさせたくなる。

 ランスロットはグランの希望に応えることはなく、代わりに再び熟れた乳首へと舌を這わせ始めた。
「な、んでっ、ン、ぅ、あっ……」
「ンっ……そのうちわかるさ」
 おそらく、と言うよりも、自分の手でそうしたい。
 グランが胸で感じるとわかった時から考えていたことだった。

 前立腺への刺激を続けたまま、ランスロットはグランの乳首を愛撫する。乳輪ごと含んでちゅうっと吸い付けば中はきゅんと絞まり、さらにそこを強く擦ってやる。
「ゃ、あ……な、に……? ぁ、あ、なんか、へんっ」
「ん?」
 体の異変を訴えるグランに気をよくしたランスロットの愛撫は止まらない。ちゅ、ちゅ、と啄むように吸い付いてみたり、ねっとりと下から舐め上げてみたり、それに合わせて中の指をぐちゅぐちゅと動かしてやる。
 ランスロットの下半身は、今挿れたらどれだけイイことかと想像しただけで暴発しそうなほどに膨れていた。それほど蕩けたグランの中の様子に、グラン自身も気付いている──あと少しの辛抱だと、ランスロットは奥歯を噛み締めた。
「はっ、ァ、や、おなか、きゅってして、おかし、ンっ、ぁ、ああっ!?」
「ああ、そのままイっていいぞ……ッ、ほら、イけ!」
 ランスロットが乱暴とも言えるような手付きでグランの前立腺を刺激し、一層強く乳首に吸い付いたその瞬間だった。
「ァ、や、きちゃ、う、あ、イっちゃ、ぁああああっ────!!」
 悲鳴のような声と共に背中を弓なりにしならせ、グランは絶頂を迎えた。びくびくと体を震わせ、閉じることを忘れた口元からはだらしなく涎が溢れている。
 そして一度も触れていないグランの分身は、ゆるく勃起しながらも精を吐き出してはいない──ランスロットの狙い通りだった。

「グラン、上手にメスイキできたな」
「め……す、いき……?」
「ああ。中で出さずにイったんだよ。女の子みたいに」
 グランは初めて味わう射精を伴わない絶頂の余韻から抜け出せず、半ば放心状態のようだった。そんなグランの後孔から指を引き抜けば、栓を失ったそこがひくついている──完全に男を誘う性器となったその様子に、ランスロットは思わず舌舐めずりをする。

「本当に、あんたは底が知れないな」
 そして限界まで膨れ上がった欲望で、グランの中を染め上げた。
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