プラネタリウム(まもうさ)

 2人は都内のビルの上にあるプラネタリウムに来ていた。美奈子にブチギレ涙目で譲ってもらったカップルシートチケットを持って。
『約束日急遽賢人海外出張我激怒!!』
 どーぞ、お二人でイチャラブあっまあまデートぶっかましてきてちょうだいな!とのお達しだ。
 
「なんだか悪いな」
「うん。今度はあたしからペアチケットお返しプレゼントしようと思ってるよ」
「そっか」
(オレのうさがいい子オレのうさが可愛いそのチケット代はオレが全部出す)
 頭を撫でられてふふっと笑ううさぎは、あ!あのシートじゃ…と指差しながら言いかけてピシッと固まった。
 想像以上にベッドである。
 円形で雲のようにふわふわしたデザインで、うさぎなら少しだけ足を曲げれば充分寝転がれるサイズだ。
「うさ? 座らないのか?」
 すでに腰掛けている衛は見上げると真っ赤な顔して半笑いの恋人がいてきょとんとする。衛の家でこれくらいの距離感で座ったり寝転がって体を寄せ合ったりするのなんていつもの事だ。けれど、のそのそ座って髪の毛をいじりながら俯いたりちらっと見てくるうさぎの様子は遅れてこちらにも気恥ずかしさを運んでくる。
 なんとなく会話のないままぎこちなく座っているうちに場内は暗くなり壮大なBGMと共に満天の星空が現れた。
 すぐにその世界観に引き込まれた二人は瞳を同じように煌めかせて頬を緩ませる。
 うさぎは靴を脱いでシートに体を倒すとさらに没入感が上がり「わぁ…」と小さく感嘆の声をあげていた。それにつられるように衛も上体を倒してドームの星空を仰ぐ。
「すごいな…」
「ほんと。きれい」
 暗い場内では互いの声だけが近くに聞こえて、さっきまでの恥ずかしさが薄らいだうさぎは体を小さくすると左側の温もりにそっと身を寄せた。衛は左腕を広げて寄せられた小さな頭を撫でるとうさぎはくすぐったそうに肩を揺らす。
 天体の流れ、数多ある星座たち、月の満ち欠けを見ていると二人に去来するのは前世だった。それでも、今はこんなに近くで愛する人と一緒にいられる。その幸せを噛み締めて……いつの間にかうさぎは眠った。
「いや、寝るのかよ」
 隣ですよすよ気持ちよさそうに幸せそうに。眠る彼女の頬をつついて苦笑する。
 コロコロ変わる表情を向けてくれる素直で純心な恋人は、本当に一緒にいて飽きないどころか愛しさが積み重なっていく。
 上映が終わったら目覚めのキスでもしてあげようかと悪戯を思いついたように笑う衛なのであった。
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