スケートに行く理由(まもうさ)

「なんでそんなこと言っちゃったんだよ」
「だって!あたしを頼ってくれることなんて滅多にない子だから……う、嬉しかったんだもんっ!」
 
 友達とスケートに行くというちびうさに、30世紀ではスケート靴さえ履けば自在にできてしまうそれをアナログでやったことがないと泣きついてきたそうだ。 
『まもちゃんにお願いしようと思ったけどちょっと恥ずかしいし…うさぎ! うさぎならアナログスケートくらいできるでしょ! 教えて!!』
『え? あ、あたし?? 当たり前じゃない! いいわよ! このうさぎお姉様に任せなさい!』
 
 というわけだ。
「任せなさい、じゃないだろ? うさ、オレとデートする時だって一度もスポーツ系行ったことないし」
「うぅーまもちゃん冷たい!」
 涙目のうさぎにため息をつく衛はダイニングテーブルとその上に二つ並んだコーヒー越しに座っていたが、立ち上がってうさぎのすぐ横に座り直す。
「なあうさ、万が一ということもあるから初歩的なことを聞くぞ。
 スケート、滑れるのか?」
「……滑れない。というか、滑れてたらまもちゃんに相談しません!!」
「だよな」
「わ、笑わないでよぉお!」
 すぐ耳元で小さく吹き出されてうさぎは真っ赤になって反論した。
「で。どうする気?」
 答えを分かり切ってるはずなのにテーブルに肘をついてうさぎを見つめて聞いてくる衛にむむっと口を膨らませると、両手をパチンと合わせて小さく頭を下げた。
「まもちゃんあたしにスケートを教えてください!!」
「やだ」
 瞬殺でにっこり笑ってそう言われ涙目になるうさぎ。
「まもちゃんっ?!」
「って、言われても仕方がないんだぞ? 発端はうさがちびうさに嘘ついたからなんだから」
「うぅ…」
「でもオレも、ちびうさには友達と楽しくスケートしてきて欲しいし、うさとスケート行くのも初めてだし。オレとしては全然悪くない提案だから付き合うよ」
 ふと目元を緩めてうさぎの頭にぽんと優しく手を置く衛に満面の笑顔になる彼女は両腕を広げて抱きついた。
「まもちゃんありがと大好きーっ」
「はいはい」
(やっぱりオレって二人には甘いのかな)
 ぎゅっと抱きしめ返しながらそんなことを思う衛なのであった。
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