おかえりまもちゃん

 うさぎは衛が再度留学中にダイエットを頑張っていたのだが、留学期間が長くてリバウンドしてしまい、体重最高記録更新した時に丁度帰国することになり「嫌! 今は会えない!!」と電話で大泣きしてしまう。
 そんな彼女の言葉に本気でハンマーで殴られたかのような衝撃ダメージ受ける衛は、ヘロヘロとその場にへたりながら必死で言葉を紡ぐが声も震えてしまう。
「うさ、頼むそんなこと言わないで。ごめんずっと会えなかったからオレのこと嫌「ちがうのっ大好きだから会いたくないの!」
「え?」
(そんなの、そんなのオレからしてみれば『会う』一択だろ…っ)
「理由は? 教えてくれないの?」
「まもちゃんがぁ、帰ってくるまでに痩せてキレイになろうと思ったのに…っちゃんと成功したのにぃ…! まもちゃ、帰ってくるの…っ遅いんだもんんん」
「わぁあ泣くなうさごめん悪かった! 今どこっ」
「空港にぃ、いるぅうう」
「…!」
 どんな事があってもちゃんと自分のことを迎えにきてくれていたと知れば、もう何も抑えることはない衛はしどろもどろな説明から解析力をいかんなく発揮し彼女の場所を割り当て見つけ出す。
 
「うさ!!」
「まもちゃ…っみちゃやだあ!」
 一瞬ぱあっと笑顔になるがすぐに体を背けて泣くうさぎを背後から思い切り抱きしめる。
「そんなこと言うな。見るだろ普通に。大好きな、女の子なんだぞ…?」
「まもちゃん…」
 抱きしめる力を強くすればそれを返すように腕にきゅううっとしがみ付く。そんな彼女が愛おしくて腕を緩めると今度は正面から抱きしめて肩口に顔を埋め額をぐりぐり擦り付ける。
「…言ってくれないの?」
「え…?」
「うさ、オレ…帰ってきたよ」
「お、おかえり、おかえりなさい…おかえりまもちゃ――んっ」
「うん、ただいま、うさこ」
 うさのおかえりが聞きたくて、ずっと聞きたくて頑張ってこられたんだ
 そう耳元で言う衛に新たな涙が後から後からこぼれ落ちて。それを困ったように、嬉しそうに目を細めて拭う衛は記憶よりもずっと温かくて柔らかな頬を愛おしげに包んでキスをした。


おわり
2025.3.4
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