雨上がりの二人
うさぎはいつも通り仕事を終えると雨の中折り畳み傘を広げて急ぎ足で駅に向かう。
「パンプスやめれば良かったっ雨こんなに強くなるとか聞いてないよぉ」
土砂降りに近い天気に小声で文句を言いながら進むが、ふっと心が暗くなる瞬間が訪れた。
こんな時、引っ張ってくれる大きな手があった気がする。
天気予報ちゃんと見とけって叱ったり、それでもあったかいコーヒーを用意してくれる不器用で優しい誰かがいた気がする。
イマジナリー恋人?ううん、そんなんじゃない。どこかに、いつか、『いた』気がするのに。感覚だけは強く強くあるのに実際はどこにもいない。出会ってすらない。
「あたし、やっぱり変だよね」
寂しげに揺れる瞳は、濡れてないはずの頬に一雫雨を降らせた。
心にどこかの誰かを強く求めていることがわかっていて、恋人を作る気持ちにはとてもなれなかった。たくさんの友人に囲まれてどれだけたくさん笑っても、埋められない心の一部。
きっとこのまま一生を生きていくのだと思ったらやるせ無くて。
雨の中一人佇んでその大きな雨音をどこか遠くで聞いていた。
あの後、どうしても辛くて親友四人に声を掛ければ笑顔の奥に心配そうな顔を覗かせてみんなで集まってくれた。
「明日はみんな仕事お休みって分かったし、もう今日はオールしよ!」
美奈子の一声でうさぎの好物がたくさんあるお店でご飯を食べた後、カラオケに入って夜を明かした。
解散後、雨で洗われたアスファルトを歩くうさぎは歩道橋に一人登ると、朝焼けに染まった空を見上げた。
ふと。視界の隅に自分と同じように空を見つめる人物が映った。
互いに顔を向け、視線がぶつかったのはほぼ同時で、2秒、3秒と視線が重なり、空色の瞳とシルバーグレイの瞳は揺らめき合う。
なぜ視線を逸らす事ができないのか。そして、なぜ相手も逸らさないのか。
分からないが決してそれは嫌なものではなかった。
互いの空虚な心が同じ様に瞳に映っていたからかもしれない。
それがその数秒だけ混ざり合い、ふとした瞬間もう一度朝日に視線が戻っていく。
なぜかは分からなかったがさっき見ていたものとはまるで違うその色、その光に二人は言葉を発することもなく胸を揺らすのだった。
雨上がりの朝は二人の息遣いだけを静かに受け止めていた。
「パンプスやめれば良かったっ雨こんなに強くなるとか聞いてないよぉ」
土砂降りに近い天気に小声で文句を言いながら進むが、ふっと心が暗くなる瞬間が訪れた。
こんな時、引っ張ってくれる大きな手があった気がする。
天気予報ちゃんと見とけって叱ったり、それでもあったかいコーヒーを用意してくれる不器用で優しい誰かがいた気がする。
イマジナリー恋人?ううん、そんなんじゃない。どこかに、いつか、『いた』気がするのに。感覚だけは強く強くあるのに実際はどこにもいない。出会ってすらない。
「あたし、やっぱり変だよね」
寂しげに揺れる瞳は、濡れてないはずの頬に一雫雨を降らせた。
心にどこかの誰かを強く求めていることがわかっていて、恋人を作る気持ちにはとてもなれなかった。たくさんの友人に囲まれてどれだけたくさん笑っても、埋められない心の一部。
きっとこのまま一生を生きていくのだと思ったらやるせ無くて。
雨の中一人佇んでその大きな雨音をどこか遠くで聞いていた。
あの後、どうしても辛くて親友四人に声を掛ければ笑顔の奥に心配そうな顔を覗かせてみんなで集まってくれた。
「明日はみんな仕事お休みって分かったし、もう今日はオールしよ!」
美奈子の一声でうさぎの好物がたくさんあるお店でご飯を食べた後、カラオケに入って夜を明かした。
解散後、雨で洗われたアスファルトを歩くうさぎは歩道橋に一人登ると、朝焼けに染まった空を見上げた。
ふと。視界の隅に自分と同じように空を見つめる人物が映った。
互いに顔を向け、視線がぶつかったのはほぼ同時で、2秒、3秒と視線が重なり、空色の瞳とシルバーグレイの瞳は揺らめき合う。
なぜ視線を逸らす事ができないのか。そして、なぜ相手も逸らさないのか。
分からないが決してそれは嫌なものではなかった。
互いの空虚な心が同じ様に瞳に映っていたからかもしれない。
それがその数秒だけ混ざり合い、ふとした瞬間もう一度朝日に視線が戻っていく。
なぜかは分からなかったがさっき見ていたものとはまるで違うその色、その光に二人は言葉を発することもなく胸を揺らすのだった。
雨上がりの朝は二人の息遣いだけを静かに受け止めていた。
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