雨上がりの二人
朝の五時。衛は白衣を脱いで帰路に着く。帰っても少し寝てまた職場に戻る。仕事は過酷だが何にも代え難い充足感と使命感を持って働いているし生き甲斐も感じていた。けれど、何かが足りない。心のどこかが空虚で自分にとって大事な何かが欠落しているように感じていた。それが六歳以前の記憶を持たないからなのかどうかは分からない。会えば心地よい関係である友人も多くはないがいるし、人とのコミュニケーションも誠実に図れている。
それなのに、朝起きると何かが足りない気がする。学生時代はそれから目を逸らすように勉強をいくらしても、働いてからは仕事にいくら邁進しても、なぜか眠る前はどうしようもない空虚感に晒される。月を見れば泣きたくなる。晴れた空を見るとそれが誰とは分からない誰かにどうしようもなく会いたくなる。待っている気がする。誰を?
恋人はいない。なぜか作ろうとも思わなかったし、友人に紹介されても心がひとつも動かなかった。相手は全く悪くはない。
これは自分自身の問題だ。
ロッカーの鏡に写る自分の顔はとても人前に出せたものではない表情をしている。
この思考に陥った時に決まって流れてしまう涙も、今は静かに受け止めていた。
それなのに、朝起きると何かが足りない気がする。学生時代はそれから目を逸らすように勉強をいくらしても、働いてからは仕事にいくら邁進しても、なぜか眠る前はどうしようもない空虚感に晒される。月を見れば泣きたくなる。晴れた空を見るとそれが誰とは分からない誰かにどうしようもなく会いたくなる。待っている気がする。誰を?
恋人はいない。なぜか作ろうとも思わなかったし、友人に紹介されても心がひとつも動かなかった。相手は全く悪くはない。
これは自分自身の問題だ。
ロッカーの鏡に写る自分の顔はとても人前に出せたものではない表情をしている。
この思考に陥った時に決まって流れてしまう涙も、今は静かに受け止めていた。