最終話 それぞれの未来へ
最終話
『それぞれの未来へ』
「彼女と別れた。だから今度こそ俺と付き合って。」
遠山海斗からその言葉を初めて聞いたのは高一の秋。
それ以来たくさんの彼女と別れる度にその言葉を繰り返し言われることになる。
海斗は高校の初めのクラスで一緒になった。
最初は出席番号順で席が前後で馴れ馴れしく話し掛けてくる奴くらいにしか思っていなかった。
それでもふと見せる優しさに救われていたのもまた事実。
恋愛以外を見れば悪い奴じゃないことも長い付き合いで分かっていた。
いつもの言葉を聞くのは、大抵私が何かに悩んで落ち込んでいる時で。
ずっと衛くんを想っていた私はもちろん断ったし、あっさり別れるような奴と付き合えるわけがないと怒っけれど、話をした後は何故か悩んでいたことはどこかへ飛んでいた。
もしかしたらそれすらも海斗は分かって言ってくれていたのかもしれなかった。
いや、多分きっとそうなのだろう。
あれだけ多くの浮き名を流しながらも周りからの人気を損なわないのは持ち前の明るい人柄や、憎めない性格…そして結局は優しいところのお陰なのだろうから。
「彩花―――逃げろ」
どうして彼がルシファーになってしまったのかとか
いつからそうだったのかとか
そういうことは関係なかった。
そこにいたのは紛れもなく海斗だったから。
海斗、ごめんね。
本当はあんたが真面目な奴だってことも分かっていたのに。
真面目に私の事を想ってくれてるんだってことも心のどこかでは分かってたのに。
いつもまともに取り合わないで過去の想いに囚われて逃げてばかりでごめん。
それなのに私を庇って…ルシファーから守ってくれて…
海斗、お願い。
今度はちゃんと話したい。
だから、必ず私のところに戻ってきて。
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