12 無限
「うさ!!!」
私の体が皆の力で生命力を帯びてきた頃、愛しい人の声が聞こえた。
「まもちゃん…!」
来てくれた
やっぱりあなたが来てくれた。
嬉しくて涙が頬を伝う。手を伸ばしたくて鎖を力いっぱい動かした。
「うさ!大丈夫か!?」
私が鎖を外せないのを見て、彼の表情は一瞬歪み、すぐに瞳に強い光を宿して真っ直ぐに向かってくる。
「待ってろ!すぐに外してやる。」
まもちゃんがほんの数メートルまで近づいたとき。いつの間にか張られていたバリアが彼を弾き返す。
「まもちゃん!!」
「…っく」
もう一度こちらに来ようと起き上がる彼の頬には、今の衝撃で出来た傷口から一筋の鮮血が流れていた。
次の瞬間、私と彼の間に黒い炎が巻き上がり、その中心を見るとこの城の主が背筋が寒くなるほどの冷たい眼差しを私たち向けながら立っていた。
「セレニティ、今私はとても気分が悪い。地球の王子には早速死んでもらうぞ。」
「やめて!!」
「死ね!!」
お願い!皆!力を貸して!!
私の胸の中に宿る光よ!どうか私に力を――――!
心の中で強く願うと、視界が眩い白一色になり体中を包み込んでいった。
「う…!!この光は!?」
ルシファーはマントで光から逃れながら言う。
「セーラームーン!?」
玉座の間の入り口には仲間が辿り着いていて、私のことを驚きの声で呼んだのはヴィーナスだった。
いつの間にか手足の枷は取れていて、手を見れば見慣れたグローブに、足元は白いブーツが。背中には羽が生えていて…私はエターナルセーラームーンに変身をしていた。
けれど、胸に刻まれている印までは消えてくれなかった。
ルシファーもそれに気付いているようで、変身直後には焦っていたような顔付きも、すぐに嫌な笑みに変わっていた。
こんな印があっても関係ない。
私は私の意思で戦ってルシファーを倒し、ナタリアを解放してみんなと一緒に地上に帰るの。
今の私が魂だけだとしてもこの気持ちだけは絶対に無くしたりなんかしないから。
「うさ!」
「まもちゃん!」
彼の温かくて力強い手が私に触れる―――はずだった。
だけどやっぱり私の体は実体が無くてそれは心に冷たい風が吹き抜けるようにすり抜けていった。
「まもちゃん、ごめん。私ホントに死んじゃったみたい。だけどね、今の私は地上で戦っていた時よりも胸の奥が熱くて、皆の力をずっとずっと感じるの。だから、負けないよ。」
「ああ。俺達は何があっても負けない。絶対にお前の体を元に戻す。そして、一緒に帰ろう。」
彼はゴールデンクリスタルの力を解放して黄金色のオーラを纏ってもう一度私に手を差し伸べてくる。
「大丈夫。うさ、俺の手を取って。」
優しく言われるまま、私は恐る恐るゆっくりと手を伸ばす。
すると触れた所から私の白銀の光と彼の光が重なり合っていくように輝く。
「まもちゃん…!!」
感じる。確かにあなたの体温を。
少し骨張った男らしい大きな手の感触を。
まもちゃん
この広い宇宙の中で、私にとって一番特別な存在はやっぱりあなたなのね。
今、心の底からそう思う。
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