11 失くして見えるもの
私たちは力ではなく言葉で。誠意で彼女の残されているはずの一欠片の温かい心に訴えたのだった。
それが私たちの新しいやり方。
以前はそんな生易しいやり方をするプリンセスたちに反対もしたこともあったけれど、人を信じることを諦めたくなかった。
人を最後まで愛せる人間になりたかった。
そうよね?うさぎ。
迷いの心がナタリアの瞳に見えたけれど、彼女はそれでも自分では振り払えないほどの闇に包まれてしまっているようだった。
「もう手遅れなのよ。何もかも。だからせめて衛くんだけは手に入れたいの。そのためにもこのクリスタルは渡せない。」
苦しそうに呼吸をしながら言う彼女にウラヌスは刃を立てた。
「まだ分からないのか!このままだとルシファーに殺られるぞ!」
「…」
「彩花さん!あなたまで死ぬことはうさぎも衛さんも望んでないのよ!?」
私は揺らぐ彼女の良心に呼びかける。
すると僅かに彼女の瞳が見開かれた。
「私…は…それでもこのクリスタルを手放すことはできない…」
そして徐々に姿を消していき、最後にこう言った。
「愛してるの。衛くんを。」
「彩花さん!」
「私を止めたいなら城まで来て。」
なぜかそう言い残して完全に姿を消した。
本当は止めて欲しいと思う高嶋彩花としての最後の願いなのかもしれない。
私たちは急いで城へと向かった。
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