11 失くして見えるもの
第十一話
『失くして見えるもの』
古の湖を越えたところで私たちを待ち構えている人物に鉢合わせる。
「往生際悪くここまで来るなんてね。」
ナタリアは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
「お前のほうこそ。そっちから現れてくれるなんて好都合だな。」
ウラヌスはタリスマンを構えて言う。
「さっきのお返しを存分にさせて頂くわ。」
私もウラヌスに並んでナタリアに技を構えた。
「こっちにはシルバームーンクリスタルがあるのよ?ただでさえ私の力に敵わなかったあなたたちが勝てるわけ無いでしょ。」
笑いながら言い返すナタリアに私も笑って見せた。
「あなたにそのクリスタルが使いこなせるのかしら。」
「やってみれば分かるさネプチューン。」
ウラヌスも同じように笑いながら言った。
「あなたたちのその強がりもいつまで続くかしらね!!」
彼女が技を放つ瞬間私たちは高く飛び上がる。
着地したときに、ちょうどサターンとプルートがこちらに向かってくるのが見えた。
「デスリボーン・レボリューション!」
「デッド・スクリーム!」
彼女たちの聖なる攻撃が炸裂する。
「何!?」
ナタリアはシルバームーンクリスタルを持っているのにも拘らずその攻撃でダメージを受け、動揺していた。
「クリスタルの力を過信しすぎて頼るばかりでは私たちには勝てないぞ。」
ウラヌスはそう言って剣を振りかざしあっという間にナタリアの喉元に詰め寄った。
「分かっただろ?お前にはそのクリスタルは使えない。返してもらおうか。」
「…くっ!」
「あなたはそのクリスタルを願いを叶えてくれて絶対のパワーを持つ魔法の石か何かと思っているみたいだけど、そんなに安いものじゃないのよ。」
私は恐れなく彼女に近づき冷静に話し始める。
「真の願いを叶えようとした時、そのクリスタルの持ち主であるプリンセスはいつでも全てを受け止める勇気と、全てを捨て去る勇気を持ってパワーを発動してきたの。そう。自分の命など一遍も顧みずにね。」
「そんな純粋で気高く、だからこそ誰よりも強くて優しいプリンセスが守ってきたものだったから美しく輝くことが出来たんだ。」
ウラヌスが一瞬も油断することなく詰めたままナタリアの目を真っ直ぐに見て力強く話す。
「扱い方を間違えれば、下手したらその力に飲まれて死ぬのはあなたのほうよ。ナタリア。」
サターンは海に浮かぶ凪のような静かな瞳で言った。
「プリンスを純粋に思う気持ちが本当なら、もう愚かなことは止めて邪心を追い払うのです。
運命を呪いたくなる気持ちは分かります。でもだからといって今あなたがしていることは決して誰も救われないのですよ。」
プルートは落ち着いたアルトの声で言った。彼女は時の狭間で多くの人々の生き死にを見てきたからこそ、説得力を持って言えるのかもしれない。
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