10 交錯する想い
~城内部~
「うさ…待ってろ!」
城の中に進入した俺は彼女に再び会えることを信じて奥へと進んでいく。
得体の知れない敵がたくさん襲ってくるのではと思っていたが、城の中は恐ろしいほど静かで何の気配も感じなかった。
どうしてこんなことになったのだろう。
つい数日前まではうさを叔父と叔母、そして…彩花に紹介して幸せの過程を踏むはずだったのに。
その最愛の人の命が従妹と彼女を支配するルシファーによって奪われてしまった。
これは今までの罰なのだろうか。
俺はいつも肝心なときに彼女を守ることが出来なかったから。
ゴールデンクリスタルの力を解放できて、ようやく俺も彼女の横に並んで歩いていけると思っていたけれど、結局目の前で…。
闇の手に奪われた彼女を思い出す。
そこまで考えていたら、不意に周りの闇がより一層濃くなっていくのを感じる。
何だ…?体に力が入らない。
もしかしてこれがナタリアの言っていたことなのだろうか?暗黒エナジーに体が支配されて…?
「…っく。こんなところで立ち止まっているわけには行かないんだ…!」
よろける足元を必死に立たせて自身を奮い立たせる。
気持ちを強く持て衛!惑わされるな!
俺が今しっかりしなくては彼女はこの城から出ることが出来ない。
この闇は、きっと自分の気の弱さ、心の闇が広がって濃くなってしまっているだけだ。
おそらく…その心の闇こそがルシファーが城に張り巡らせている目に見えぬ罠なのだろう。
どんなときでも胸の中の星を光らせていなくては…敵には勝てない。己の心にすらも―――!!!
「ゴールデンクリスタルラムダパワー・セラピスイリュージョン!!」
両手に力を込めて胸の光を熱く輝かせて叫ぶ。
パアーーン!!
その瞬間。辺りの闇がガラスが割れるように弾けて飛んでいき、さっきまでの風景に戻る。
体の重さも無くなっていき、呼吸も楽になる。
もうあの瞬間をいくら思い浮かべても時間を巻き戻すことは出来ない。
うさに何度も助けられたこの命で、今度は必ず彼女の命を助け出す。
俺に出来ることはそれだけなのだ。
「うさーー!」
何度も恋人の名を呼び、更に奥深くを目指していった。
つづく