10 交錯する想い
~北東・骸の森~
「静かなところだね。せつなママ…。」
「あら、ほたるにそう呼ばれるのは久し振りね。」
私達はルシファーの城から離れた場所でナタリアの居所を探っていた。
セーラームーンはヴィーナス達が。そしてプリンセスの心臓とも言えるシルバームーンクリスタルは外部太陽系守護戦士である私達が取り戻す。
そう。そのために何が起ころうとも。
「私達がいたところのように静かだわ。でもサターン、こんなに息苦しくなるような暗黒のエナジーが漂う空間はさすがに"静か"だけでは片付けられないわね。」
「ええプルート。ここは、死の臭いが充満しすぎている。少しでも気を緩めれば取り込まれてしまうかもしれない。気を付けなければ。」
この前までは赤ん坊だったのに、ほたるは本当に強い精神を兼ね合わせた戦士になった。
だけど少し目を離した隙に、絶大な力を持った前世の彼女が愛された、死と静寂という闇に消えてしまうのではないかと思うことがあって…。
それはまだ転生してから年月が経過していないからか。心配になってしまうのは母としてこの子を育ててきたからか。
いずれにしてもこの子だけは守らなければ。
プリンセスは特別な存在。
でもほたるはもっと身近な家族という存在なのだ。
どちらも代え難い絆で結ばれている大切な存在。
私はきっと時の神を味方に付けてあなたたちを守ってみせる。
そう心に固く誓っていた。
「せつなママ?」
「あ…ごめんなさいほたる。考え事をしていたわ。」
「だめだよ一人で悩んだら。分けてね私にも。」
にっこりと優しく微笑んだほたるはどこかみちるに似ている。そう思った。
「せつなママの背中は私が守るんだから!」
そしてそう言うほたるの強さははるかを。
そう思ったら何だか泣きそうになった。
「ええ。ほたる。この戦いを乗り越えてまた皆で一緒にご飯を食べましょう。」
「あ!じゃあその時はすき焼きね♪」
「そうね。」
無邪気に微笑む可愛い娘に同じだけの笑顔を向けた。
~地球・司令室~
「アルテミス。お願い私を一人にさせて。」
「いやだ。」
パソコンの画面に虚ろな視線を送りながら彼女が言う言葉をボクは頑なに拒む。
だって今キミを独りにしたら自分のことを責め続けるだろう?
「じゃあ私がここから出るわ。」
椅子から飛び降りてドアへ向かおうとするルナを先回りして行く手を阻む。
「どこへ行くんだ?」
「…」
「…地底帝国に行くのか?」
「だったら?」
「ボクらには彼女たちのような力は無いんだ!行っても命を無駄にするだけだぞ!?」
「構わないわよ!!うさぎちゃんを守れなかった命なんて…!!」
「ルナ!!」
大声を張り上げたボクにはっとなり涙を溜めた目でこちらを見る。
「そんなことをしたってうさぎは悲しむだけだ。美奈たちも命を懸けて敵の元に乗り込んだけど、決して死んでもいいなんて思ってない。
それはうさぎが一番望んでいないことだから。」
「うさぎちゃん…!!」
堪えていた涙を一気に流すルナの顔に自分の顔を摺り寄せる。
「ボクたちは衛が言っていたように地球を守ろう?何か異常があればすぐに彼女たちに知らせられるように。」
「ええアルテミス…ごめんね。私…」
「ううん。大丈夫。ルナにはいつでも本音で話して欲しいから。」
そしてボクたちは互いの使命を果たすために在るべき場所に戻っていった。
.