9 心の隙間





第九話
『心の隙間』









私たちの目の前からうさぎと衛さんが二人に宿るクリスタルと共に消えてしまった。


また…守れなかった?





「馬鹿野郎…!!」


ガン!

地面に拳を叩き付けながらウラヌスが叫ぶ。


「私たちも早く敵の本拠地に向かいましょう!」


私は今起きている事態を早く打破したくてリーダーであるセーラーヴィーナスとしての自分がそう言わせていた。


心の中の愛野美奈子は親友を失った悲しみに叫んでいても…






「ルナたちとようやく地底帝国への行き方を突き止めたの!一度指令室へ…!」


マーキュリーも同じく、自分達のすべきことを思い出して毅然と言った。それでも最後の方は声が震えていたけれど。


「敵の親玉をぶっ倒す!それが地球を守る最短ルートだ。」

ジュピターはさながら鬼神のような闘気を放っていた。
彼女もうさぎを失ったことがどれ程大きなものなのかそれを見ればよく分かる。



「絶対、二人はこんなことで死んだりしないわ!」

マーズがはっきりとそう言うことで私たちの心はより一つになる。


「助けに行くわよ!二人を!!」



私たちは頷き合う。


「サターン…?どうしたの?」

プルートはただ一人、頷かずに表情を硬くしたまま動かない深淵の色を瞳に宿した少女にに尋ねる。



「帰ってこれないかもしれない。そこに行けば…もう二度と。」


ポツリと話すサターンの雰囲気は、以前の破滅の神の時のそれだった。


「サターン。それでも私たちは行くの。あなたも例えそれが分かっていても行く。そうではなくて?」


ネプチューンはしゃがみ込んでいたウラヌスを支えながら穏やかに、だけど厳しくサターンに問い掛ける。


「ええ…。そう。それが私たちセーラー戦士だものね。」


ほたるちゃんの顔に戻った彼女は静かに微笑む。


「だけどなサターン。私たちは絶対帰ってくる。全員で、二人と共にな。」

立ち上がったウラヌスは力強くそう言うとサターンの頭をポンと優しく叩いた。
そうされることでサターンの表情は更に柔らかいものへと変わる。

ネプチューンとプルートも、母親のような雰囲気で優しくサターンを見つめていた。


温かい空気の中に四人の絆のようなものを感じる。




「さあ、司令室へ行きましょう!」

プルートの言葉を合図に、私たちは二匹の猫が待つ場所へと駆け出した。



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