1 静かな闇に誘われて
ずっと俺は、心のどこかで後ろめたい気持ちを抱えていた――――
いつものように泊まりに来ている彼女が寝静まったころ、俺はなんだか寝付けなくて、押入れから古びたアルバムを取り出すと、薄明かりの中それを眺めていた。
それは9年前にあの家を出たときに、従姉から泣きながらも渡されたものだった。
記憶と共に感情も全て無くしてしまったかのような少年時代。あの家族はそれでも俺に優しくしてくれていたのに…どうしても自分を取り戻せない俺は、それらを素直に受け入れることを拒んだ。
何より、その三人を包む家族という空気が更に自分が孤独であるという現実に追い討ちを掛けていくような気がして…辛かったんだ。
今ならそんな風に思うこともないのに、あの頃の俺は本当にどうしようもない存在だったんだと思う。
俺は横に眠る大切で唯一無二の彼女の事を見る。
うさにあの家族のことはまだ話していなかったけれど、こんな過去を持つ俺を受け入れてくれるだろうか?
彼女の深い愛情を考えれば、自惚れではないけれどきっと受け入れてくれると…思う。
だけど少しの不安もまだあった。
それでも彼らに会いに行きたいと強く思うようになったのもまた事実。
一番の理由は、うさのことをあの人達に紹介したかったから。
こんなに俺のことを変えてくれた彼女を、優しく可愛がってくれた叔父さん、叔母さんに会わせたい。
俺が成長した姿を彼らに見てもらいたい。
安心させたい――――
それが今までの俺のしてきたことの罪滅ぼしだと思うんだ。
そして彩花に、泣かせてしまったことを謝りたかった。
「うさ、一緒に来てくれるか…?」
安心しきって眠っている彼女の額にそっとキスを落として呟いた。
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