7 愛する人
「彩花。それは…できない。」
「どうして?前世で月野うさぎが恋人だったから?」
暗く、ぞっとするような笑みを浮かべたまま彩花はそう言ってきた。
「違う。」
「そうでしょ?決められた運命に従ってるだけ。しがみついているだけ。そんなの、もうやめたら?
あなたの価値がどんどん下がって、あの子にいいように利用されるのがオチよ?」
やめてくれ
そんな風に言うのは
「彩花、君はそんなことを言う人間じゃなかった。」
「何を言っているの?私は、私よ?」
一呼吸置いて、改めて真っ直ぐに彩花を見る。
「俺は彼女を…うさを愛してる。だから君の恋人にはなれない。」
彩花の表情、動作がピタリと止まり、その瞳は定まらず、宙をさ迷っていた。
「また…それ?」
「え?」
「生まれ変わっても、また同じことを言うのねあなたは。」
喫茶店で見たときとは比べ物にならないくらいの闇のオーラが彼女の体から沸き上がってくる。
「彩花!!」
「いいわ。じゃああの子に言うから。衛くんを…エンディミオンを私に頂戴って。」
「あや…」
「あの子を殺してでも―――――!!」
殺気一色となった彩花の目を見た瞬間、オーラが暴発して凄まじい音を立てて周りの地面のコンクリート吹き飛ばしていった。
再び目を開けた時には俺の知る『高嶋彩花』ではなく、暗黒のオーラを放ち、黒いドレスを纏った女性が立っていた。髪の毛と瞳は燃えるマグマのように赤く、俺のことを嘲るように見下ろしていた。
「あ…やか…。」
向日葵の花束を持つ笑顔の従姉が脳裏をよぎる。
「まもちゃん!!」
ベッドで寝ているはずの彼女の声がすぐそばから聞こえてきてはっとなる。
「うさ!来るな!!」
セーラー戦士に変身した彼女たちは、俺の目の前にいる彩花の姿に驚いていた。
「そう。あの子が月のプリンセスなの…。」
彩花はそう言うとセーラームーンのすぐそばまで飛んでいく。しかし瞬時に間に入った俺を見るなり眉をひそめた。
「君に…うさを殺させやしない。」
彩花とは戦いたくない。
だけどうさを殺すなんて絶対にさせない。
その為なら…たとえ従姉でも…
ぎゅっと袖口を掴まれ振り向くと、とても苦しそうな、泣きそうな表情で首を横に振るうさがいた。
まるで俺の心を見透かしているかのように。彼女の空色の瞳の中には同じ様に辛そうな表情をした自分が映っていて、奥歯をぐっと噛み締めた。
「どきなさい!エンディミオン!!」
彩花が叫び、俺は身構えた。
後ろからスルリとうさが前に出て、手を繋いだまま横に並ぶ。
周りの仲間たちからやめるように叫ばれるが、うさは凛とした表情で目の前にいる彩花と対峙する。
「私、逃げないよ。彩花さん。」
うさの覚悟を決めた瞳を見ると一瞬彩花は怯んだ。
そこへサイドから強烈な光が降り注いでくる。
「ヴィーナス・ウインクチェン・ソード!!」
「だめ!ヴィーナス!!」
セーラームーンはそう言って止めようとしたが、ヴィーナスの技は既に放たれ直撃したかに見えた。
しかし彩花の強力なバリアはそれをはねのけ、軽く手を払ったと同時に高熱の黒い炎が逆に彼女たちに向けられた。
「ヴィーナス!マーズ!ジュピター!!」
炎に巻かれながら彼女たちは高く吹き飛ばされる。
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