6 対峙
彩花の家に辿り着く。幼い頃住んでいた家。
自分の部屋があったところの二階の小さい窓に目を向けると、懐かしさで胸が締め付けられた。
まさかこんな形でこの家の前に立つなんて思ってもみなかった。
辛い現実に目の前が真っ暗になりそうだ。
それでも俺は彩花に会わなければいけない。どんなことになろうとも…。
意を決してインターホンを押す。しかし何の返事もなく、もう一度押しても同じだったため留守だということを悟り、溜め息を付く。
玄関から離れて他を探そうともと来た道を歩き出した時、心臓がドクリと波打った。
「やっぱり。来てくれると思ったわ。衛くん。」
「彩花…。」
正面に立つ彩花の笑顔は、昔の表情とはあまりにも違っていて…胸の奥が痛む。
「彩花。君ともう一度…話がしたいんだ。」
「ええ…いいわよ。」
あっさりと承諾されて気が抜ける。
「じゃあ…」
「その代わり、私の恋人になって?」
「え…何」
「そしたらなんでも話も聞くし、言うことも聞くわ。」
俺の言葉を遮ってそう言う彼女は、俺の全く知らない女になっていた。
夏の夕暮れ時
あの日と同じ様にセミが鳴いていたけれど、それはまるで警報であるかのように俺の心を深く抉っていった―――――――――
つづく