6 対峙
目が覚めたら皆がいて、熱が大分下がっていた私は驚いて体を起こした。
「あ、起きた。」
美奈Pが柔らかく微笑んで言った。
窓の外はもう日暮れが近くて、あれから随分寝てたことに気付く。
「みんな…いつからいてくれたの?」
もうぬるくなってしまった冷却シートを剥がして、ベッドの脇にあるゴミ箱に捨てると皆の顔を見ながら言った。
「お、熱は下がってるみたいだな。」
まこちゃんがおでこを私のおでこにコツンと当てて微笑む。
「二時間くらい前からよ。」
レイちゃんがクッションの上でキチンと正座をして答えた。
こういうところは、やっぱりお嬢様なんだなあと思う。返事もせずにそんなことをぼんやりと考えていた。
「ちょっと、何ボケッとしてるのよ。まったく。慣れない風邪なんか引くからじゃない?」
「う…レイちゃんのいぢわる!!」
もう!やっぱりいつものレイちゃんだ!!
風邪を引いても結局意地悪を言われてしまって苦々しく溜め息を漏らしてしまう。
「あ…れ?亜美ちゃんは?」
こんな時、まっさきに様子を見て適切な処置をしてくれる亜美ちゃんの姿がない。
私が聞くと三人は顔を見合わせている。
「今日は塾の模試だって言ってたわ。」
レイちゃんがそう言って、私がそれについて色々聞こうとしたら、他の二人が突然話題を変える。
「隠し事は…なしだよ?」
私が投げ掛けた言葉に三人はハッとなる。
分かるもん。私だっていつもぼうっとしている訳じゃない。
もう、何年もセーラー戦士をやってるんだから。前の自分じゃ気付かなかったことも随分察することができるようになったと思う。
特に、戦士としての力が必要な状態の時に。
どんな言葉で取り繕ってもごまかせない雰囲気を感じたからか、美奈Pがふうっと長い溜め息を付いた。
「分かった。話すわ。ただし、うさぎは今回の件からは手を引いて欲しい。」
「どうし…」
「敵は、衛さんの従姉だ。」
私の言葉を遮って言ったまこちゃんの言葉に目を見開く。
まもちゃんの…従姉?
まもちゃんの家族が…敵…!?
『記憶を無くした、感情も全く無かった俺のことを…それでも優しく接してくれた家族なんだ…。』
叔父さんたちと撮った写真を眺めながら切なそうに、だけど嬉しそうに話してくれたまもちゃんのことを思い出す。
「まもちゃんは…!?」
「アルテミスと亜美が話したと思う。」
レイちゃんが返事をしてくれたけど私が聞きたいのはそれだけじゃない。
「まもちゃんは今どこ!?」
「!!」
三人は何かに気付いたように黙り込んだ。
「うさぎのところに来ると思ってたけど…」
「…!!まさか!?」
レイちゃんの言葉に美奈Pが顔色を変える。
「まさか一人で彩花さんのところに行ったのか!?」
まこちゃんが立ち上がって叫んだ。
「行かなきゃ。私も。」
ベッドから起き上がる。それを見た三人が慌てて止めた。
「とにかくうさぎは体を休めて!」
「私たちが何とかするから!」
「行く!!」
風邪なんてもう治ってる。それどころじゃない。
だって…
「だってまもちゃん泣いてる…。」
「え?」
私の肩を掴んでいたまこちゃんが顔を覗き込む。レイちゃんも美奈Pも動きが止まった。
「私には分かるもん。まもちゃん…きっと心の中で泣いてるよ!!だから私も行くの!!」
強くて気高い心を持ったあなただけど、私は知ってる。
時々小さい男の子みたいに弱くて寂しがり屋なところが見え隠れすることを。
ようやく私に話してくれた家族…。
あんなに可愛くて優しさに溢れたアルバムを作ってくれた彩花さん…。
まもちゃんにそんな辛いことを一人でさせる訳にはいかない!!
「私は助けるよ!まもちゃんを。…彩花さんを!!」
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