4 first contact
衛くんと電話で話したその日の夜。
とうとう自分だけではどうしようもない運命の渦に飲み込まれようとしていた―――――
第四話
『first contact』
夢の中であの恐ろしい声が、私自身忘れていた前世の記憶を見せてくる。
『お前はまた
前世を繰り返すつもりか…?
シルバームーンクリスタルを手にする前に
もう一度よく思い出すのだ。
お前がいかに愚かで哀れであったかを…!!』
私の中の「私」が目を覚ます
遥か昔の記憶が呼び覚まされる
私が地球国で、ナタリアという一人の貴族の娘だったあの頃。
貴族の娘達は、やがて国王となるエンディミオン様に皆憧れを抱いていた。
当然彼の将来約束されている地位が大きな理由として挙げられるけれど、多くの女性達は、その端正な溜め息が出る程の顔立ちやスラリと均整の取れた外見に注目していたように思う。
だけどそんな彼女達よりも、私は彼の一番良いところを知っている。そう自負していた。
それはどんな身分にも分け隔てなく接する度量の広さ。誰にでも平等に与える限りない優しさ。
彼にはそれが自然と備わっている。
私は王子という重責を背負いながらもそれらを身に付けている彼にとても魅力を感じていた。
ある日四天王の部下と名乗る男が私の屋敷に訪ねてきて、王子には内密に進めたい計画があることを伝えてくる。
『王子エンディミオン様の花嫁候補』
それが彼の話した内容の全てだった。
遠くから見ているだけだった彼が、もしかしたら私にだけ微笑んでくれる日が来るかもしれない。
いえ、きっと来る。
私はそう信じて、一番の花嫁候補になれるように様々な努力を惜しまなかった。
彼に気に入られるように
彼の目に止まるように
勤勉な王子と会話が出来るように遅くまで色々な勉強もしたし、他の女性よりも少しでも目立つようにドレスや髪飾りも自分で工夫したりもした。
とうとう四天王のリーダーに呼び出されて、私の努力を認められてエンディミオン様の住まう王宮の出入りを許可してくれるまでになった。
嬉しくて人前で初めて泣いた。
その夜は興奮で眠れなかった。
貴方の傍にいられる
私は貴方の特別になれる
私を見てくれる――――!!
そう思ったのに
「今日もまた、どちらに行かれるのですか!?」
今まで繰り返し繰り返ししてきた質問。
貴方は私を見てくれない
「…。」
さすがにこれ以上嘘は付けないと思ったのだろうか。王子は黙って俯く。
「私は…貴方をお慕いしています!!」
決して交わったことのなかった視線が、その時に初めてぶつかった。
それが…最初で、最後。
「申し訳ありません。貴女の気持ちには答えられないんです…。」
そんなことを聞きたいんじゃない。
どうして?
こんなに貴方だけを想って
こんなに努力しているのに
どうして私は貴方の特別になれないの―――!?
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