彼女が幸せなら

- 彼女が幸せなら -

 


「俺が勝つ」

「いや、俺だな!」

「それじゃいくわよー……。

衛さん対星野くんの、うさぎのことをどれだけ知ってるかクーイズ!!」



絶対に勝つ!
その意志のもと、俺が今やっているのは、そう。
『お団子のことをどれだけ知ってるかクイズ』。

対戦相手はお団子の恋人、衛さん。
観戦者は愛野を筆頭としたいつものメンバーと、天王達、そして大気と夜天。
出題者は愛野。


何故こんなことになったのか。
それは数十分前に遡る―――……















下校中、大気と夜天と共に校門に差しかかった時だった。


「あれ、月野の恋人じゃないの?」

「は?……あ、本当だ」


夜天の言葉に校門を見れば、腕組みをして寄りかかっている衛さん。


「月野さんを待っているんでしょうか」

「あいつ帰ってたじゃん」

「んー……。衛さん!」


グダグダしててもしょうがねえ!
ってことで衛さんを呼べば、彼の視線がこっちに向く。

まさか俺に声をかけられたとは思ってもいなかったのか、途端に目を見張る。



「どうかしたんですか?」

「うさを待ってるんだけど……すれ違ったかな。まあ、あいつのことだし、そこら辺のクレープ屋とか行けばいるだろうな」


すぐにお団子のいそうな場所を挙げた彼に少しイラッときた。
……ちょっとからかってやれ。


「―――他の男と会ってるって可能性もありますよね」


顔に笑みを貼り付けてそう言うと、衛さんは俺にちらりと視線を向けてから、フッと笑った。


「ないな。うさは俺一筋だから」

「…………」


余裕綽々な笑顔と言葉に心底イライラする。
何だよその自信は。


「わかりませんよ?」

「わかるさ。うさのことならな」

「へぇ……。どうでしょうかねー」


ああ、イラつく。
どうにかしてギャフンと言わせたい。

そう思っていると、背後から声がかかった。


「だったら、どっちがうさぎのことをより知ってるか、勝負したら!?」


振り向けば、満面の笑みの愛野。
結構危険な賭けだけど……。

ちらりと衛さんを見れば、バチリと合う視線。


「…………」

「…………」


バチバチと散る火花。
……よし。


「やってやろうじゃん!」

「望むところだ」







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