まもセレ
吸い込まれそうな、見つめていると息が詰まるほど引き込まれるその蒼い瞳。エンディミオンと変わらない彼の瞳が私の心を切なく、優しく射抜く。
涙を優しく拭われて、その逸らすことの出来ない眼差しを無言で返しながら彼の言葉を待った。
「俺は、エンディミオンは…セレニティのことを、その生涯を懸けて…愛していたよ。」
ドクンと大きく心臓が鳴り響く。
「何があっても、どんなことが起ころうともそれはずっと、ずっと変わらない。」
続く言葉に落ち着いたはずの涙がまた込み上げてくる。
やっぱり
やっぱりまもるは…
「まもるは、未来の『あなた』なのね?」
返事の代わりにそっと寂しそうに微笑む彼はどうしたってエンディミオンとその姿が重なる。
長椅子から床に降りたまもるは跪いて私の右手を取ってそっと唇を甲に寄せた。
洗練されたその動きはプリンスそのもの。見上げられる二つの蒼の中に私が映る。
「例え君の隣にいなくても、すぐに名前を呼べなくても…心はずっと傍らに。君の傍全てを包んで愛し抜いていた。
それだけは…誓って本当だ。」
まもるを通してエンディミオンの心の声が聞こえてくるようで。その大きな愛に私の心は切なく甘く満たされていく。
「ありがとう…
エンディミオン…私、あなたを好きになって本当に…良かった…っ」
「それは、君の世界に戻ってからちゃんと本人に伝えてくれ。
エンディミオンも君と同じ悩み、苦しみを抱えているはずだから。」
右手をそのまま彼の両手に包まれて微笑まれる。彼の瞳にも光るものがあった。
「ええ。そうね!」
笑顔になった私を目を細めて頭を撫でてくれるまもるは次に目を見開いて窓のほうを見つめ、何かをぐっと堪えたような顔になる。
「時間みたいだな。」
「え…?」
振り向くと窓の外が白く輝いていた。
この光はよく知っている。そう。私の星(くに)。月の、光。
「ありがとう、まもる。そろそろ帰らなきゃ。」
その言葉にまもるの表情は一瞬翳る。けれどすぐに笑みを取り戻してただ頷いた。
それでも光に包まれて消えそうになったその時。
手首をぐっと掴まれてその力強さに驚いて彼を見ると、苦悩と焦りと困惑の色。ここに来て初めての取り乱したようなその姿。
「まもる…?」
何かを話そうと開かれた口は一呼吸置いて噤まれて。沈黙が流れていく。
「……いや、なんでもないんだ。さようなら――――セレニティ」
声が、震えている。放されたその手も、その瞳も震えている。
そんな顔しないで?大丈夫よ。あなたにはこの世界の『私』がいる。
私もずっとあなたの傍全てを包んで愛していくわ――――
「さようなら、『 』」
左頬に涙が一筋。
彼の流したその雫は、
とても綺麗だった。