まもセレ
「うさ…?」
眠っていた俺は体に掛かる重みと聞こえてくる嗚咽に目が覚めた。
「うさって、いうの…?この世界の私…」
その言葉にはっとなる。彼女が持っている写真立てを見て、彼女の問いの意味も明確になった。起き上がりセレニティの瞳を覗き込む。涙を一杯に溜めた薄い青色のそれは様々な思いを孕んでいた。
「あなたは…エンディミオンのことも、私のことも…知ってるんでしょう?」
「セレニティ…俺は…」
俺の表情や雰囲気に何かを察したのだろう彼女は「何も言わないで」と涙ながらに制した。
「何も言わないで、ただ…名前を呼んで…?」
「…セレニティ…」
震わせていた唇をきゅっと噛んだ彼女はそのまま俺に抱きついてくる。その、折れてしまいそうな華奢な体を受け止めそっと抱き締めると、彼女から回されていた腕の力がぎゅっと強くなる。
何も言えず、ただこうして抱き締めてやることしか、俺には出来ない。それで今この瞬間だけでも彼女の心を救えるのなら。
「まもるは、恋人のこと…愛してる…?」
ひとしきり泣いた後。セレニティが腕の中でぽつりと聞いてくる。
「ああ。」
「すごく?」
「ああ。すごく、大切で…心から愛してる。」
「そう」
ふっと柔らかく微笑んだ気配。涙混じりの声もいくらか落ち着いてきたようだった。
「私もね、エンディミオンのこと…本当に大好きよ?」
まるで俺がエンディミオンだったことに気付いているような言い方。そんな彼女に俺はある決意をする。
「セレニティ、俺からも…言わせてくれ。」
「……」
今度は止めないその沈黙を肯定と捉えた俺は腕を弛めて彼女を真摯に見つめた。