猫の日(クン美奈+アル)

「ちょっと飲み物用意してくるから二人で待ってて〜」
 彼女の部屋で美奈子に言われて「ああ」と返す賢人とアルテミス。
 しばし無言。見つめ合ったのち賢人がカバンから猫じゃらし(釣り竿タイプ)をおもむろに取り出してそれにぴくりと反応する白猫。しかしこの白猫は月の王国があった頃からずっとサポートし、マウ星人としての誇りも持ち合わせたスーパー猫様なのである。

「ぼ、僕がそんな猫騙しに引っかかるわけ…っ」

 しかし現実は残酷なものだった。狩猟本能とも言える反射には勝てないアルテミスは、瞬時にそれを振り回す賢人に大いにはしゃいでしまったのである。
 しかも賢人はどこで覚えたのかその扱いに長けていて、まるで猫調教師(そんなものはない)あるいは猫カフェのスタッフなのかという動きを示してみせた。

 要するに二人はめちゃくちゃ遊んだ。


「なーにあんたたち。仲良しだわね〜」
 
 賢人の膝の上に乗り、上から横からと猫じゃらしを操られてひょいひょい前足を動かしているアルテミスを見て、拗ねたようにアイスレモンティーとミルクが載ったトレイを持つ美奈子に言われる。
「普通だ」
 真顔で賢人が返すが、
「仲良くてたまるかー!」
 アルテミスは遊びはしゃいでしまった可愛い白猫ちゃんから我に返って悔しそうに叫ぶのだった。

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