責任は取るから(クン美奈)
「待って!」
「待たん。」
「待ってってば!…きゃっ!」
ベッドに押し倒されて悲鳴を上げる。普段なら蹴りだのパンチだのお見舞いするところなのに、この予想外の状況に体に力が入らず、ただ目の前の傍若無人の男を睨むことしかできない。
「美奈子が煽ったんだ。だから、お前が責任を取れ。」
その囁きに近い声はゾクリと体を震わせて、どうしてそうなったかは全く分からないけれどやたらと色気を放つ彼に顔が火照る。
「な…何よ!私はそんなつもり無い!あんたがヤりたいだけでしょ!?」
「それは心外だな。あれだけのことをしておいて。
だが、そんな赤い顔で言われた所で説得力も無ければ、無論俺の気を変えることもできないぞ。」
いつものように余裕綽々にそう言う彼は、そんな態度とはおよそ似つかわしく無い行動に出て、途端に私の女の部分を引き摺り出す。
「あ…っん…!ちょっとどこ触って…!」
「胸だが?」
「そ…そんな普通に言わないでよ!!」
悔しいけれど私の顔はこれ以上無いくらいに赤いはずだ。
何で?どうしてこうなったの?
私はちょっとくっついていたいだけだったのに。
彼の安心する香りに包まれて、ちょっとリラックスしたいだけだったのに。
「いいか?男はそういうふうに過度にスキンシップを取られれば精神的な安らぎより、物理的な欲求に駆られるものなんだ。」
心を読んだかのようなタイミングで答える彼に耳まで赤くなる。目元もじんわり熱くなってくる。
さっきから鼓動が充血した頭にガンガン鳴り響いていた。
「と…とにかくその手をどけなさいよ!!」
目をぎゅっと閉じて震えながらも大声で言う。
何も答えないのを不思議に思って薄目を開ければ、少し傷付いた顔をした賢人が見えた。
「嫌なのか…?お前は。」
「え…」
「俺は嫌なものを無理矢理するほど馬鹿でもないからな。」
私、嫌なの?
付き合ってたらいつかはって分かってたはずじゃない。
だけど突然すぎて…
しかも余裕な彼がムカついて。
それで
それで
私が答えるのも待たずに賢人はさっさと体を離して顔も背けてしまう。
「…ちょっと待って…!」
「腹、減ってるんだったよな?飯でも食いに行くか。」
そうして何事もなかったかのように立ち上がる。
何なのよ!散々こっちの気持ちを掻き乱しておいて…!
乙女の純情を弄んだ責任取ってよ!!
「ちょっと待ちなさいって言ってるでしょバカ賢人!!」
枕を大きな背中に目掛けて思い切り投げ付ける。
「美奈子!?何するんだ。」
「行かないでよ!側にいなさいよ!!
もうちょっと…くっついていたいのは…嘘じゃないんだから。でも、急にあんな風になってビックリしたの。だって…だって…!こういうこと、初めてだったから…っ!!」
知らず涙が溢れる。
いつもこうだ。
いつも私は賢人には負けっぱなし。
らしくないことも言ってしまう。止まらなくなってしまう。
嫌なわけないじゃない。
私のこと、求められて想われて…嫌なわけない。
賢人が私の涙を拭い、髪をすくように撫でる。
「お前、分かってるのか?それを煽ってるって言うんだ。」
「知らないってば!」
強がって言いながらも彼の背中に腕を回す。
「もう、嫌だと言ってもやめないぞ?」
「……好きにすれば?」
「では遠慮なく好きにさせてもらうか。」
―美奈子殿?―
いつもの飄々とした口調に思わず非難の目を向ける。
でもそれも口角を僅かに上げて勝ち誇ったかのような表情でかわされて、あっという間に唇を塞がれてそのまま再びベッドに転がった。
おわり
「待たん。」
「待ってってば!…きゃっ!」
ベッドに押し倒されて悲鳴を上げる。普段なら蹴りだのパンチだのお見舞いするところなのに、この予想外の状況に体に力が入らず、ただ目の前の傍若無人の男を睨むことしかできない。
「美奈子が煽ったんだ。だから、お前が責任を取れ。」
その囁きに近い声はゾクリと体を震わせて、どうしてそうなったかは全く分からないけれどやたらと色気を放つ彼に顔が火照る。
「な…何よ!私はそんなつもり無い!あんたがヤりたいだけでしょ!?」
「それは心外だな。あれだけのことをしておいて。
だが、そんな赤い顔で言われた所で説得力も無ければ、無論俺の気を変えることもできないぞ。」
いつものように余裕綽々にそう言う彼は、そんな態度とはおよそ似つかわしく無い行動に出て、途端に私の女の部分を引き摺り出す。
「あ…っん…!ちょっとどこ触って…!」
「胸だが?」
「そ…そんな普通に言わないでよ!!」
悔しいけれど私の顔はこれ以上無いくらいに赤いはずだ。
何で?どうしてこうなったの?
私はちょっとくっついていたいだけだったのに。
彼の安心する香りに包まれて、ちょっとリラックスしたいだけだったのに。
「いいか?男はそういうふうに過度にスキンシップを取られれば精神的な安らぎより、物理的な欲求に駆られるものなんだ。」
心を読んだかのようなタイミングで答える彼に耳まで赤くなる。目元もじんわり熱くなってくる。
さっきから鼓動が充血した頭にガンガン鳴り響いていた。
「と…とにかくその手をどけなさいよ!!」
目をぎゅっと閉じて震えながらも大声で言う。
何も答えないのを不思議に思って薄目を開ければ、少し傷付いた顔をした賢人が見えた。
「嫌なのか…?お前は。」
「え…」
「俺は嫌なものを無理矢理するほど馬鹿でもないからな。」
私、嫌なの?
付き合ってたらいつかはって分かってたはずじゃない。
だけど突然すぎて…
しかも余裕な彼がムカついて。
それで
それで
私が答えるのも待たずに賢人はさっさと体を離して顔も背けてしまう。
「…ちょっと待って…!」
「腹、減ってるんだったよな?飯でも食いに行くか。」
そうして何事もなかったかのように立ち上がる。
何なのよ!散々こっちの気持ちを掻き乱しておいて…!
乙女の純情を弄んだ責任取ってよ!!
「ちょっと待ちなさいって言ってるでしょバカ賢人!!」
枕を大きな背中に目掛けて思い切り投げ付ける。
「美奈子!?何するんだ。」
「行かないでよ!側にいなさいよ!!
もうちょっと…くっついていたいのは…嘘じゃないんだから。でも、急にあんな風になってビックリしたの。だって…だって…!こういうこと、初めてだったから…っ!!」
知らず涙が溢れる。
いつもこうだ。
いつも私は賢人には負けっぱなし。
らしくないことも言ってしまう。止まらなくなってしまう。
嫌なわけないじゃない。
私のこと、求められて想われて…嫌なわけない。
賢人が私の涙を拭い、髪をすくように撫でる。
「お前、分かってるのか?それを煽ってるって言うんだ。」
「知らないってば!」
強がって言いながらも彼の背中に腕を回す。
「もう、嫌だと言ってもやめないぞ?」
「……好きにすれば?」
「では遠慮なく好きにさせてもらうか。」
―美奈子殿?―
いつもの飄々とした口調に思わず非難の目を向ける。
でもそれも口角を僅かに上げて勝ち誇ったかのような表情でかわされて、あっという間に唇を塞がれてそのまま再びベッドに転がった。
おわり