意地っ張りな彼女(ジェダレイ)
女の子は甘い砂糖菓子と幸せでできているって、昔死んだ祖父からきいたことがあったけれど、俺の彼女は果たしてどうなんだろうか。
「レイさん、一緒に映画に行かない?」
火川神社で火星の守護神の二匹に餌をやっている恋人にチケットを差し出しながら誘う。
「映画?どんな?」
「恋愛映画。」
微笑んでそう言うと、たちまち表情を曇らせて「却下。」と低い声で返された。
「えぇ!?もう少し考えてくれても…」
思わず不満を言ってしまう。だけどどう考えても断るまでの時間が短すぎるのだ。
「嫌なものは嫌。男と女が大きなスクリーンの中でイチャイチャするのを観るなんて有り得ない!」
ふいっと背を向けて社の奥の火野宅の方に歩き出すレイさんを慌てて追い掛ける。
「有り得ないって…じゃあ俺とそういうことするのも嫌ってこと?」
肩を掴んで顔を近づけてそう言うと、真っ赤な顔で俺を見る。
「馬鹿!!」
それだけ叫ぶと腕を振り払って再び歩き出す。
「レイさん!」
「付いて来ないでよ!!」
ピシャリと家の引き戸を閉められて、おまけに鍵まで掛けられてしまった。
「何なんだ…?」
そのあといくら呼んでも返事は無くて、仕方無く俺は行き場を失ったチケットをポケットに戻す。
後ろ髪引かれる思いが溢れていたけれど、今までの経験上これ以上ここにいても一度こうなった彼女は何を言っても動かないことを知っていた。
だから結局何もできないまま渋々立ち去ることにする。
レイさんは恋愛映画は嫌いなんだ。それは分かった。
じゃあそのあとの俺に対する反応は…?
…分からない。
俺は悶々とした頭を抱えたまま仲間の誰かしらがいるだろうパーラークラウンに向かっていった。
1/3ページ