あおぞら
『ママはね、あなたのことが大好きだから厳しいことも言うよ』
白い空間に漂っているとまたあの声がプリンセスに語りかけた。
「うん…!」
『まだここにいたい?』
「ううん!早くパパとママに会いたい!あたしがパパとママをぎゅっと抱き締めたい!!」
そんな、少しだけ大人になったかのような発言に声の主は柔らかな雰囲気を醸した。
『そうだね』
光が集まってその人物を象り始める。
プリンセスはその姿を見て目を丸くする。
目の前で微笑むその女性は、母親によく似ているけれど自分と同じ赤い瞳でピンクの髪の毛。
しかしそれが一体何を意味するのか理解する前に、空間が弾けて再び中庭に戻ってきていた。
プリンセスは、いつもと何も変わらない澄み切った青空を仰ぐ。
そしてにっこりと微笑むと、大好きな二人の所へと駆け出そうと振り返った。
ちょうどその時。
「スモールレディ!!」
息を切らして自分のことを呼ぶ二人の姿が見えて、プリンセスの表情は一層晴れやかになる。
「パパ!ママ!!」
スモールレディは何の迷いも無く両親のところへと真っ直ぐに走り、そして力強く抱きついた。
健気なその姿にキングとクイーンは何か言おうとしていた言葉も引っ込んで、今度は穏やかに娘を抱き締め返す。本当はずっと、ただそうしたかったのだ。
その抱擁の中にはたくさんの「ごめん」と「ありがとう」、そして「大好き」が詰まっていて。
何も言わなくても親子三人の心は今確かに繋がっていた。
遠くでそっと彼らを見守っていた長いピンク色の髪をしたレディは微笑むと、淡い光に包まれて空の水色に優しく溶けていく。
残ったのはいつも通りの眩しいほどの、青空。
おわり