あおぞら
それは再び両親の部屋だった。
今は二人にはどんな顔をして会えば良いのか分からなかったプリンセスは慌ててドアから出ようとする。
だがベッドから赤ん坊の泣き声が聞こえてきてその動きを止めた。
小さく話し声が聞こえてきて、それが両親のものであることも分かり、彼女はそっとベッドへと近付いていった。
そこにはベッドに横になりながら嬉しそうに微笑むクイーンと、その側には小さな赤ん坊を愛おしそうに抱くキングが腰掛けていた。
「パパ…ママ…?」
呼びかけるが二人は全く気付いていない。どうやら二人にはスモールレディのことが見えないようだった。
「君にそっくりだ。」
「ふふっそうかしら?まだ産まれたばかりだから、きっとこれから益々可愛くなっていくのよね。」
「本当だな。今だってこんなに可愛いのに。」
「ね。そのうちパパと結婚する!なんて言い出すかも。」
「待ってるぞ。スモールレディ。」
「やっぱりあなたって子煩悩。」
くすくすと笑いながら赤ん坊と夫を見つめるクイーン。
キングは更に甘い顔をして腕の中の娘に微笑みかけた。
「俺だって、自分の子どもがこんなに可愛いだなんて知らなかったよ。」
「私も。すごくすごーーく、可愛い。産むまでの大変さが全部なくなっちゃうくらい。」
「お疲れ様。ありがとう、うさ。」
「あ、久しぶり。その呼び方。」
「うん。なんだか言いたくなった。」
クイーンは幸せそうに笑うと、今度は穏やかな表情を浮かべて赤ん坊を見つめた。
「でもね、私はこの子にありがとうって、言いたいの。」
クイーンの気持ちを察したキングは愛する娘をベッドに横になる妻の隣にそっと寝かせる。
母親は赤ん坊の小さな手を指で優しく掴み、もう片方の手でそっと頬を撫でた。
「生まれてきてくれて、ありがとう。大好きよ。私の小さな可愛いレディ。」
「ママ…」
両親の幸せな情景を黙って見守っていたスモールレディは涙を流して呟いた。
こんなにこんなに二人に愛されて生まれてきたということが分かってそれ以上何も言えなくなる。
―あたしなんて生まれてこなきゃ…―
そう言ってしまったとき、母親は一体どんな顔をしていたのだろう。
きっと絶対に泣きそうだったに違いない。
そこで再びあの優しい光が現れた。