あおぞら
スモールレディはキングサイズのベッドの上でルナPを抱えていた。
後から後から流れ落ちる涙はどうにも止める事が出来ない。
「パパ…ママぁ…!!」
何度呼んだか知れない二人をもう一度呼んだときだった。
「スモールレディ!」
ノックの後に確かにその声が聞こえてきた。
プリンセスは泣きながらフラフラと扉に近付いて鍵を開ける。
たくさんたくさん甘えたかった。抱き締めてもらいたかった。
けれど扉が開いて母親が言った言葉はそんな彼女の心を砕いてしまった。
「スモールレディ、駄目でしょ?どうしてヴィーナスやジュピターが困るようなことをするの?」
プリンセスは何も答えずにきゅっと唇を噛み締めてポロポロと静かに涙を流す。
「セレニティ。」
「この子にはもっと強くなってもらいたいのよ。」
クイーンのことをキングが何か言って自分を援護してくれると思ったプリンセスは、父親のことを泣きながら見つめた。けれど、
「そうだな…」
彼にまで突き放されて、スモールレディの胸の中でせき止めていたものが爆発した。
「あたしなんて…」
掠れた声で話し出し、やがて一気に声を張り上げる。
「あたしなんてお仕事の邪魔なんだ!!あたしさえいなかったら何も気にしないでお仕事できるもんね!!あたしさえ生まれてこなきゃ…!」
「スモールレディ!!」
キングはかがんで娘の両肩に手を置き、険しい表情で制した。それは、スモールレディが今までに見たことが無い父親の表情だった。
底知れぬ悲しみと、苦しみと怒りが混ざった表情。
視界が霞む。両親に顔を向けることが出来なくなった。
「もういい!!」
スモールレディはそう吐き捨てると二人の間をすり抜けて部屋を飛び出した。
自分が言ってはいけないことを口にしてしまったという後悔もあった。
けれど久しぶりに会えたのに自分のことを叱る母親の気持ちが分からなかった。
それに父親にあんなに怖い顔をされたのは初めてで、本当に自分はいらない子なんじゃないかと思えてしまって、その場に居続けることができなくなってしまったのだ。
「あたしは…いらない子なの…?」
中庭に出ると空を見上げてポツリと零す。
『そんなことない』
突然空から降ってくる声に驚き目を見開く。
「誰!?」
空から一筋の光が注いできて、スモールレディを優しく照らす。
『大丈夫よ
私に着いて来て』
どこかで聞いたことがあるような懐かしい声。
彼女が不思議な感覚に包まれていると、不意に体が光り始める。
そして声の主に誘われるかのようにフワフワと真っ白な空間を漂ったかと思えば中庭ではない、ある場所へと降り立っていた。