kizuna


高原には牧場があり、牛や羊、ヤギなどと触れ合えて、ポニーにも乗った。

牛の乳搾りのあとはソフトクリームを食べ、彼女は終始笑顔で楽しんでいた。

次はあれ、次はあっちなど散々両親を引っ張り回して何か発見がある度に歓声を上げる。

娘の満足そうな表情を見ると、二人は嬉しそうに微笑み合って肩を寄せ合うのだった。




しかし3人で泊まる筈だった宿に着き、キングが帰るころになるとプリンセスは父親の足にコアラのようにしがみついて離れない。


「スモールレディ、もう行かないと。」

「ダメ!!一緒におっきいお風呂入るの!」

この宿には温泉が湧き出ていて大浴場が完備されていた。

「スモールレディ。」

今までの多少の甘みを含んだ口調とは違い、諭すような言い方にプリンセスははたと止まる。

「本当にごめんな。今日はどうしても行かなくてはいけないんだ。
でもその代わり、約束するから。」

「約束?」

「ああ。どんなに忙しくても、これからは一日一度、スモールレディと一緒の時間を少しでも取れるようにする。」

「エンディミオン…」

横で心配そうな表情で呼びかけるクイーンに、人差し指を口元に当てて優しく首を振る。

「今日は一緒に風呂には入れないが、明日からは一緒に入ったり、寝る前にたくさん絵本やお話をしてあげるよ。」

「パパ…」

「いつも寂しい思いをさせてすまない。でも、これだけは覚えていてくれ。
どんなに忙しくても、スモールレディのことは片時も忘れたことなんてない。」

キングの言葉に何も言えず目に涙を溢れさせるプリンセスのことを優しく抱き上げる。

そして娘のことを愛おしそうに見つめ微笑む。

「一緒にいられない間も、もちろん今だって、どんな時でもお前のことが大好きだよ。分かってくれるかい?」

「…うん。」

きゅっと抱き付いて答えるプリンセス。

「パパ…ごめんなさい。」

「いいよ。ちゃんと謝れて、スモールレディは良い子だな。」

頭をよしよしと撫でると、プリンセスは照れたように微笑んだ。そんな二人を包むようにクイーンも抱き締めた。




「指切りしよ!」

小さな小指を差し出してキングと約束を交わす。


そしてクイーンとプリンセスはキングを見送ると、二人で仲良く大浴場へと向かっていったのだった。






その後、娘との約束を果たすために出張のとき以外は毎日家族との時間を大事に過ごすようになったキング。

体力的には辛いかもしれないが、精神的には以前よりもずっと穏やかになった。


キング同様に忙しいクイーンも出来るだけ娘に関わる時間を持つように激務を守護神たちにフォローされながらこなすようになる。



親が子を育てるのと、子が親を育てるのは常に同じところにあるようだ。

もしかしたら、子どもが出来て初めて人は成長できるのかもしれない。



そんな思いを巡らせるキングとクイーンなのであった。









おわり
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