kizuna
「と、言う訳で、私は今日は少しだけ早く先に帰ることになってしまったけれど、それまでは一緒にいられるからな。」
「え!?パパ先に帰っちゃうの!?」
移動中のパレス専用の車の中で、運転席のキングが話し始めた内容にプリンセスは泣きそうな顔をして大声で言い返した。
外で特別扱いされるのを嫌うキングとクイーンは、パレスの中では決して着ない、まるで普通の夫婦のような軽装に身を包んでいる。
そうしていると、まさに『衛』と『うさぎ』であった頃のようだ。
「スモールレディ、仕方ないのよ。パパはこの国でただ一人のキングなの。キングにしか出来ないことが沢山あるのよ。」
「そんなの…そんなの…いっつもそうじゃん!だけど、今日だけは…あたしだけのパパでいて欲しかったのに…!!」
「ごめんよ。スモールレディ。私もそうしたかったんだが…」
「嫌だ!今日はずっとパパとママと一緒にいたい!!」
「スモールレディ…」
隣に座るクイーンが肩に手を置いて宥めようとするが、首をブンブン横に振って大粒の涙を零すプリンセス。
「やだやだやだー!!一緒がいいーーー!!」
一度こうなってしまうと頑として譲らなくなってしまう我が子に二人は思わず溜め息を付く。
「我がまま言わないの。夕方まではいられるのよ?その代わり私がずっと一緒にいるから。いいでしょ?」
「やだあー!パパもー!!」
車内に大きな泣き声が響き渡る。
「ほら、もうすぐ着くぞ。」
話題を変えようと窓の外を見るように促すキング。そこには美しい景色が広がっていた。
青空の下、緑の山々に美しい花々。高原には何か動物も見える。
「わあ、ホント。スモールレディ、ほら、あそこにいるの牛じゃない?」
「え!?どこどこ!?」
スモールレディは両親の言葉に泣いていたことも忘れて、窓の外を食い入るように見つめていた。
その姿を見て二人はほっと胸を撫で下ろすのであった。