体育祭に行った彼氏VSチアガール彼女



腿、腹、脇腹、胸元、肩、鎖骨、首…露出している部分に次々と痕を付けられ、うさぎはその度に痛みで顔を歪めて、しかし痺れる感覚に甘い吐息と喘ぎを零す。先の一際敏感な部分に施された愛撫で、その体は少しの刺激だけで信じられないほどの強い快感が走った。
止まない嵐。痛いくらいに耳を噛まれた後にそれを癒すように優しく舌が這わされて。

加減の無い力で胸を鷲掴まれて、重なる唇から捕えられた舌はころころと転がされる。

うさぎは衛の飴と鞭の攻撃、激情に翻弄され続けた。

「まもちゃ…もう…っ」

唇が離れて一層乱れた呼吸でうさぎは衛のシャツを震える手で掴むと顔を見れないまま呼びかける。

「もう、何?」

それでもいまだ非情な声。

「お…ねが…い…っ」

「『お願い、やめて?』それとも。『続けて欲しい』?」

見上げた彼女のその瞳は羞恥に濡れながらも続きを懇願している。それが分かっても衛はそれ以上のことを決してしようとはしなかった。

「ダメだよ、これ以上はしない。したら、うさは気持ち良いだけになってお仕置きにならないからな。それに、うさはこんな場所でしてもいいのか?」

かあっと顔を赤くしてうさぎは言葉を噤む。

衛はうさぎを掻き抱くと首筋に歯を立てる。そして今一度強く吸い付いて赤を刻む。

「んんっ…」

「これじゃあチアにはもう出られないな。」

散々付けた無数の赤い花びらを見てどこか楽しげに言う衛の言葉にうさぎはポロポロ涙を流した。

その雫が衛の肩口を濡らす。

「ごめ…なさ…」

「ごめんなさいの意味、ちゃんと分かってるのか?」

うさぎはぶんぶん頭を振って頷く。

「も…こういうカッコ、他の人には見せないよ…っまもちゃん以外には見せない…っだから怒んないで…っごめんなさい…っまもちゃんにもう…そんな顔させたくないよお…っ」

「それで?」

「それで…だから………」

衛の背中に回した手でシャツをきゅうっと掴む。
彼はそれでも動かず黙っていて。うさぎは自分が言わなければずっとこのままの状態なのだと理解し、羞恥で消えそうになりながらも必死に口を開いた。

「つづき…して…ほしいの…っ」

彼の目を真っ直ぐに見上げて言ったその表情、仕草は本人が意識していないだけで相当の色気を放っていた。
衛は長い溜め息を付き、彼女を腕から解放する。
離れていく体温に切なさを感じた彼女は衛の腕を必死に掴んだ。そんな動作も愛おしくて、衛は悔しそうに唇を噛んだ。

「ずるいな…うさは。」

衛の目元は赤く染まっていて。先ほどまで感じていた嵐がいくらか止んでいる。

刹那。うさぎに優しいキスが降ってくる。

「でもここじゃ、ダメだ。」

「…え!?」

柔らかなキスに頭を蕩けさせていたうさぎは彼の言葉に驚く。

「美奈にお前のジャージもらってくるから待ってて。」

「あ、あの、まもちゃん…?もう怒ってない…?」

「怒ってるよ。」

「!!」

「だから続きは、俺の家で。いいな?」

「でも体育祭…」

「だから。出るのか?それでチアに。」

うさぎは言われて自身の体に散らばるものを見て赤くなって黙り込む。まもちゃんのせいなのに…と思うも、それは自分の招いたことだと苦しいほど気付かされた後だったため余計何も言えない。

今のうさぎに拒否権は一つも残されていなかった。


衛は静かに微笑み、圧倒的な存在感を残して部屋を去る。うさぎは胸に毒針を刺すような甘くて強い彼の独占欲に、最早何も言葉が出てこなかった。




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