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『今日ははじめてあの人が私のことを名前で呼んでくれた。出会ってはいけない私達だったのに、会いたくて会いたくて。気付いたら地球に降りて。名前を教えていた。
自分の名前を呼ばれただけでこんなに特別な響きに聞こえるなんて、あの人に会ってはじめて知った。エンディミオン。そしてあなたを呼ぶだけで、私の心は幸せで痛いくらいに震えてしまうの。』
『大好きなのに。こんなに大好きなのに、会ってもすぐに別れの時間がきてしまう。寂しさが隠しきれなくて黙ってしまった私に、エンディミオンはこの花をくれたの。
誰かから花をもらうのははじめてじゃないのに、涙が出るほど嬉しかった。』
『キスをすると、私の心はそのたびに生まれ変わっていく。だって、彼のことがこれ以上無いくらい大好きだと思っていたのに、キスをした次の瞬間にはもっともっと大好きになっているから。』
『私達の運命の先は、つながらない。そんなことははじめから分かってる。でも、分かっているからこそ、会っているときは彼との強いつながりを感じたくて。誰よりも近くにいるのはエンディミオンだと感じたくて。同じように思ってくれていた彼の想いに私は泣いた。
私を抱いた彼はとても優しかった。そこには愛しかなかった。こんなにも幸せな時間が私に訪れるなんて。
ずっとエンディミオンに恋をしていた。でもあの瞬間。私は愛を知ったの。』
『この愛をずっと守って生きたい。二人で守っていけたら、どんなにいいだろう。
いつも私のことを一番に考えてくれる切ないほどの彼の優しさが愛おしい。
でも、本当は寂しくて。孤独で。どうしようもないくらい私のことを求めてくれる小さな子どもみたいな彼の弱さも愛おしくて、全部包んであげたくなるの。
私が月に戻るとき、笑って見送ってくれる彼のその隠せない切なさが見えるから。だから私は前に彼がそうしてくれたように花を渡して、涙を見せないようにそのままゲートへ飛び込んだ。
でも本当はいつも、その胸にもう一度顔を埋めてずっとこのまま一緒にいられたらって思っているの。
それができない私達のこの関係はなんて残酷なんだろう。』
『出会わなければ良かった?
いいえ、そんな風には思わない。
愛さなければ良かった?
そんなことは絶対に思わない。
私は彼に出会って、彼と愛し合って今ここに生きている。
私の心も、私の体も、一つ一つ。彼に出会ってはじめて生きているということを実感したのだから。』
『お母様が倒れた。
本当は私、選べないの。
お母様はただ一人の私の家族。私の母。
言葉でいくら並べても足りないほど大切な人。
けれど、
エンディミオンは私がはじめて愛した人。家族でも、友人でもない。でも、心から全てを捧げたいと思った唯一の人。
エンディミオン、私、どうしたらいいの?
お母様にこれ以上心配を掛けて辛い思いをさせたまま逝かせたくない
でも、あなたを一人にして傷付けて、泣かせたくない
大事なの。みんな、みんな、大事なの。
ねえ、私どうしたらいいの?』
『ねえエンディミオン、愛してるわ。
ずっと、死ぬまでずっと、愛してるわ。
分かってくれる?あなたは、分かってくれる?
私、やっぱりお母様のことをこれ以上苦しめることなんてできない。
お母様は私たちのことを知っていたの。でも責めなかった。ただ辛そうに微笑んで、私達のことを思って心を痛めてくれたの。
辛いのは死の間際にいるお母様なのに。』
『私の思いをこの贈り物に託して。
どうかあなたの心に届きますように。
自分で行けない臆病な私を許してね。あなたの前から消えてしまうずるい私のこと、嫌いになる?
だけど私の心はもう、ずっとこの先もあなただけのもの。
あなただけに捧げるわ。
恋を知って、愛を知って、幸せを知って。
はじめてのことをたくさん教えてくれたあなただけに私のまごころを――――』
