2 哀の挨拶

シルバーミレニアムの中心部では、幻の銀水晶を自在に操る無敵の女王が祈りを捧げていた。



『銀水晶の力を全て解放するとき、その力を使った者は命を落とす』


それは、クイーンが銀水晶を受け継ぐ時に先代から伝えられていたことだった。


「セレニティ、ついにその時が来たようです…。」

クイーンは目を閉ざしたまま、静かに言った。



私が倒れてもあなたがいてくれる



セレニティ



あなたは私の言うことも聞かずに地球の王子と恋に落ちた


この戦いの引き金になったのはあの悪魔のせい


でも、あなたはきっと自分を責めるわね


地球の王子と恋をした罰だと……



だけどもしも本当に自分をそうして責めるのなら…



生きて



生きて



生きなければ




そうして王家に伝わるこの力を受け継いでいって頂戴






クイーンは目を開き、ムーンスティックを高くかざして祈りを込める。

「銀水晶よ!人々を操る禍々しい悪しきエナジーを払いたまえ!」

ガラス玉のようだった銀水晶はクイーンの言葉に呼応するかのように輝きだし、その光は祈りの塔から天空を貫き、放射状に降り注いでいった。





「この光は…クイーン!!」

ヴィーナスは次々と光に包まれて倒れていく地球軍を前にして、すぐにその光の正体を察した。

「これが…銀水晶の浄化の力…!」

マーキュリーはゴーグルを祈りの塔の方角に合わせて息を飲んで言う。

「終わったのか…?」

暗黒パワーが取り払われた人々を見渡して、ジュピターはゆっくりと言った。


全神経を集中させていたマーズは突如、今までに感じたことの無いくらいの強烈な負のオーラが体を突き抜けて背中がビリビリと激しい悪寒に襲われていくのを感じた。


「まだよ!!」


気配のする方に向き直りながら、技を構えてそう制する。


しかし、相手の余りの巨大さに言葉を繋げられなかった。


「…こ…れが…」

マーキュリーは声を震わせて目の前にいる悪魔を凝視する。

「そんな…」

どんな相手でも怯むことなく戦ってきたリーダーでさえもその顔色は蒼白になっていた。





全ての憎悪の塊とも言えるその悪魔は、銀水晶の光に反応して、その姿を現したのだった。


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