1 籠の鳥

母は全て分かってくれていた。

神の掟に背いて月の姫に恋い焦がれるどうしようもない気持ちを。
それでも戒めることもせず救えと言ってくれている。

エンディミオンは母の気持ちを思い、胸が熱くなった。

『いきなさい』

そう言いながら扉の向こうを指差す。

見れば牢の鍵があいていた。

「母上…!」

『愛していますよ。私のたった一人の息子…』

「母上!!」

もう一度呼んだときにはその体は消えていて、王子の愛剣が置かれていた。
その剣は、彼の13の誕生日の折に母が贈ってくれたものだった。それが母からの最後の贈り物であったことを思い出す。

母上は…いつもここから俺を見守っていて下さったんですね…

エンディミオンはその剣を力強く握り締めると口をきゅっと結んだ。


母上…

このような愚かな俺を許し、そして託して頂きありがとうございます


きっと


きっと王家に恥じぬように務めて参ります―――!!




そして愛剣を腰に付けると猛然と月に向かって走り出した。



セレニティ!



待っていてくれ



どうか無事で…!!



今助けに行く―――!!



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