10 月の神話

それは一瞬のことだった。

全てが終わる―――王女はそう思った。






最終話
『月の神話』







繋いでいた手が離れたのを感じ、セレニティは瞬間目を開く。

そしてその光景に心が悲鳴を上げる。

目の前にはエンディミオンが大きく腕を広げて残されたパワーで結界を作り、立ちはだかっていた。




「駄目ぇ!!エンディミオン!!!」


腕を伸ばした時にはメタリアの攻撃が彼を直撃して、この世で一番聞きたくなかった人の絶叫が耳を貫いた――――







「いやあああああ!!」







王子の、彼女を守りたいという強い想いが最後のその力にエネルギーを与え、月のプリンセスには傷一つ無かった。

しかしその心は千の針で刺されるかのような痛みと苦しみに溢れていた。

最愛の人が目の前で崩れ落ちていく様は、まるで現実味がないのに、瞳を逸らすことも出来ない。



錯乱した気持ちを抱えたまま、彼を抱き止めて、しゃがみ込む。

彼女の瞳は何も映ってはいないようだった――――






メタリアはプリンセスにもとどめを刺そうとするも、クイーンの銀水晶の力によってその体は押しやられそうになっていた。


「セレニティ…!お願い。気持ちを強く持って…!」

クイーンはエンディミオンの鮮血を捉えて、また一つの命が失われようとしているのに胸を痛め、娘の細く揺れている精神を案ずる。

そして更に力を増幅させてメタリアに追撃していく。


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