9 鎮魂歌

祈りの塔ではクイーンが全ての力を解放するところだった。

「マーズ、マーキュリー…ジュピター、ヴィーナス…皆の命、無駄にはしません…!!」

一際美しく光り輝くクリスタルを宿すムーンスティックを掲げるとメタリアはその光に導かれてクイーンのところに現れた。


クイーンは気付かなかった。メタリアのすぐそばに愛する娘が地球の王子と共にいることを。










「セレニティ、愛してる。」

メタリアを見据え、覚悟を決めると隣に手を繋いでいる彼女に告げる。


「エンディミオン…愛してるわ。」



その言葉を口にすることで互いが強くなれる気がした。





「メタリア!!もうやめろ!!」



王子の声に、銀水晶の力に心を奪われていたメタリアは僅かに振り向く。




「これ以上の破壊は何も意味を為さない!!」


「お願い!もうやめて…!!」


プリンセスもしっかりとメタリアを見て叫ぶ。


『お前たちは…バカか?殺されるためにのこのこと現れおって』

ニヤリと化け物は笑みを浮かべる。



分かっていた。言ったところで通じる相手ではないことぐらい。


だが、二人の中にある正義が今この瞬間も消えることなく熱く燃えていた。


「お前は、多くの物を奪った。地球の王子として、手を下してやろう。」

「私も…あなたを許すことが出来ません!」

『星を司る者として目覚めてもいないお前たちに何が出来るというのだ?』



二人は手を更に強く握ると瞳を閉じる。

すると二人を包むオーラはやがて強い光を発した。今まさにクイーンがその手に持つ銀水晶と引けを取らないほどの。


「何てこと…!あの光は…」

クイーンも驚き言葉を失っていた。

信じられない。まだ力を継承していないにも関わらずプリンセスを纏うオーラの強さはどうだろう。

だがすぐにこの力は危うい。そう思った。

2人はきっと大切な仲間たちを失った悲しみと憎しみを糧として、力を増大させている。

それではあの悪魔には…勝てない。



「いけない!!セレニティ!王子!」



クイーンが叫んだのは彼等が放つ力がメタリアに向けられたのとほぼ同時だった。


メタリアは想像よりも遥かに上の攻撃力に驚き身を翻す。

しかし避けきれなかった体は突如喪失感に襲われる。



メタリアの右腕は、完全に消え去っていた。



『おのれ…よくも…よくも…!!』


「セレニティーー!!」


メタリアの尋常ではないほどの怒りを察したクイーンが娘の名を呼ぶ。

しかし瞬時に悪魔は反撃に出て王子と王女に牙を向いた。





『死ねえぇぇーー!!』






二人に目掛けて凄まじい悪魔の一撃が襲ってきた。



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