8 願い
王子と王女はその爆発をもちろん肉眼で捕えていた。
そして、プリンセスの腕にはめていたブレスレットがプツリと切れ、4人のカラーのクリスタルが地面に叩き付けられて粉々になる。
――大好きですよ、セレニティ様――
「嘘…みんな…いやあああ!!」
セレニティはガクリと膝をついて粉々になったクリスタルを見つめて叫ぶ。
いない
いない
もうどこにもいない―――!!
「そんな…クンツァイト…ネフライト…ジェダイト…ゾイサイト…!!」
――お二人は希望なのです――
エンディミオンもまた、ベリルの時と同様に、彼らの命の焔が消える瞬間を感じていた。
なのにどうしてだろう。
彼らのその姿は一つの影もなく鮮やかで、
その表情は胸が締め付けられるほど曇りの無い笑顔を浮かべている。
「死んで…死んでしまった…っ!!」
セレニティは泣き崩れる。
全部壊れてしまった
幸福の時間
愛する国
大切な仲間
もうセレニティに残されたのは隣にいる彼だけだった。
「エンディミオン…!!」
彼女はその細い腕を王子に向けてその服の裾を掴む。
エンディミオンはそこでようやく遠く離れてしまっていた意識を取り戻してプリンセスと同じ目の高さまで膝を落とす。
そしてその腕に力いっぱい愛しい彼女を抱き締めた。
「ごめん…ごめんセレニティ…」
セレニティはその言葉を否定したくて。
そして彼らの死を否定したくて…
何度も何度も首を横に振る。
「もう…謝らないで…お願い…!」
どれだけそうしていたことだろう
おそらくそれはほんの数分だったかもしれない。
だけど悲しみのループは途切れることなく彼らを襲った。
ようやく王子がその口を僅かに開いた。それは負の連鎖から這い上がる苦渋が見て取れるほどに重々しい動きだった。
「俺は、アイツを許さない。メタリアのところへ…行く。」
セレニティの顔を上げて体の奥から搾り出すような声で話す。
濡れていると思っていた彼の頬には涙の跡はなく、その瞳には燃えるような炎を感じた。
「ここに残るのならばそれでいい。きっとそれがいい。でも、俺は…。」
そして彼は王女の涙濡れる頬に指を滑らせる。
セレニティの瞳がキラリと光り、それが次の言葉を促していることを汲み取ったエンディミオンは再び口を開く。
「俺は君に一緒に来て欲しい。俺には君が必要だ。どんな…どんな時も。勝手なことを言っているのは分かってる。だけど…」
プリンセスはそっと王子の口元に手をあてて、もう片方の手を自分の頬に触れる彼の手に重ねた。
「あなたとならば…どこまでも…。」
セレニティは微笑みを浮かべてそう言った。
彼は溢れる涙を両の目から流し、もう一度妻とよべるその人を抱き、四天王のことを思った―――
――生きてください――
彼らの願いは叶わないかもしれないだろう。
しかし大切な友を失った悲しみ、怒り…身を切られるような思いを捨ててまで守る未来など、二人には到底考えられなかった。
一組の男女はその手にしっかりと永遠の恋人の手を握り、一歩一歩と破壊の悪魔のもとに進んでいった―――――
そして、プリンセスの腕にはめていたブレスレットがプツリと切れ、4人のカラーのクリスタルが地面に叩き付けられて粉々になる。
――大好きですよ、セレニティ様――
「嘘…みんな…いやあああ!!」
セレニティはガクリと膝をついて粉々になったクリスタルを見つめて叫ぶ。
いない
いない
もうどこにもいない―――!!
「そんな…クンツァイト…ネフライト…ジェダイト…ゾイサイト…!!」
――お二人は希望なのです――
エンディミオンもまた、ベリルの時と同様に、彼らの命の焔が消える瞬間を感じていた。
なのにどうしてだろう。
彼らのその姿は一つの影もなく鮮やかで、
その表情は胸が締め付けられるほど曇りの無い笑顔を浮かべている。
「死んで…死んでしまった…っ!!」
セレニティは泣き崩れる。
全部壊れてしまった
幸福の時間
愛する国
大切な仲間
もうセレニティに残されたのは隣にいる彼だけだった。
「エンディミオン…!!」
彼女はその細い腕を王子に向けてその服の裾を掴む。
エンディミオンはそこでようやく遠く離れてしまっていた意識を取り戻してプリンセスと同じ目の高さまで膝を落とす。
そしてその腕に力いっぱい愛しい彼女を抱き締めた。
「ごめん…ごめんセレニティ…」
セレニティはその言葉を否定したくて。
そして彼らの死を否定したくて…
何度も何度も首を横に振る。
「もう…謝らないで…お願い…!」
どれだけそうしていたことだろう
おそらくそれはほんの数分だったかもしれない。
だけど悲しみのループは途切れることなく彼らを襲った。
ようやく王子がその口を僅かに開いた。それは負の連鎖から這い上がる苦渋が見て取れるほどに重々しい動きだった。
「俺は、アイツを許さない。メタリアのところへ…行く。」
セレニティの顔を上げて体の奥から搾り出すような声で話す。
濡れていると思っていた彼の頬には涙の跡はなく、その瞳には燃えるような炎を感じた。
「ここに残るのならばそれでいい。きっとそれがいい。でも、俺は…。」
そして彼は王女の涙濡れる頬に指を滑らせる。
セレニティの瞳がキラリと光り、それが次の言葉を促していることを汲み取ったエンディミオンは再び口を開く。
「俺は君に一緒に来て欲しい。俺には君が必要だ。どんな…どんな時も。勝手なことを言っているのは分かってる。だけど…」
プリンセスはそっと王子の口元に手をあてて、もう片方の手を自分の頬に触れる彼の手に重ねた。
「あなたとならば…どこまでも…。」
セレニティは微笑みを浮かべてそう言った。
彼は溢れる涙を両の目から流し、もう一度妻とよべるその人を抱き、四天王のことを思った―――
――生きてください――
彼らの願いは叶わないかもしれないだろう。
しかし大切な友を失った悲しみ、怒り…身を切られるような思いを捨ててまで守る未来など、二人には到底考えられなかった。
一組の男女はその手にしっかりと永遠の恋人の手を握り、一歩一歩と破壊の悪魔のもとに進んでいった―――――
