6 さよならの代わりに



「お前たち!!」

こぼれ落ちそうになる涙をぐっと堪えたその声は、少し震えていた。

四天王の静かな瞳の中に、最早揺らぐことのない心が見えたエンディミオンは、俯く。

「共に闘わせては…くれないのだな?」

自分に言い聞かせるかのように呟いた。

「ええ。お断り致します。」


王子は顔を上げる。

完全な否定の言葉を彼等から浴びたのは初めてだった――――




「最初で最後の私達からの願いです。あなたは、プリンセスを守って生き延びてください。お二人が…私達の希望なのですから。」

クンツァイトは決して王子から視線を逸らすことなくそう言った。

「エンディミオン様、私達からもお願いします。どうかプリンセスを…お守りください。」

「ヴィーナス…!」

セレニティは、彼女たちの行こうとしている道は、もうどうしたって止めることなど出来ないのだということを悟った。


「マスター、最後に私達の本心を…あなたに伝えることができて良かった…。」

セレニティは、エンディミオンの拳が震えているのに気付いた。


止めたい



けれど止められない




自分と同じ気持ちであることが手に取るように分かって、彼の手をそっと取り、両手で包み込むように強く握った。


そして彼等は背を向けて歩き出す。


「命令だ!!」


エンディミオンは声を張り上げる。



「お前たち…死ぬな!いいか?生きて…生きて還って来い!!!」

溢れていた涙がこぼれ落ちる。


しかし彼等はその言葉に悲し気に微笑むだけで、再び歩みを進め始める。


エンディミオンは頬を濡らす涙を拭うこともなく、隣で静かに泣いているプリンセスを抱きかかえるように連れ出した。



これが、前世で互いを見た最後だった―――――


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